The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

Presentation information

課題口演

課題口演 » [課題口演1] 地域包括ケアシステム

課題口演1
地域包括ケアシステム

Sat. Jun 29, 2024 8:50 AM - 10:10 AM 第3会場 (中ホール)

[課題1-4] 歯科訪問診療での要介護高齢者への摂食嚥下リハビリテーション介入の実態調査

○小森 彩加1、山口 浩平1、柳田 陵介1、吉見 佳那子1、中川 量晴1、戸原 玄1 (1. 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科医歯学専攻摂食嚥下リハビリテーション学分野)

【目的】
近年の超高齢社会では要介護高齢者が増加しており,歯科訪問診療での摂食嚥下リハビリテーションを提供する機会も増加している.しかし,歯科訪問診療における嚥下内視鏡検査(VE)の有用性の報告は少ない.本研究では歯科訪問診療における摂食嚥下リハビリテーションの実態を調査し,患者の食事摂取への寄与について検討する事を目的とした.
【方法】
歯科訪問診療で摂食嚥下機能評価の依頼があった65歳以上の358名(男:女,175:183,年齢83.0±8.1歳)を対象とした.診療録を用いて初診から12カ月後までを後方視的に調査した.年齢,性別,基礎疾患等の基本情報と口腔内情報,Functional Oral Intake Scale(FOIS)等を調査した.FOIS1−3を非経口摂取群,FOIS4−7を経口摂取群と定義し統計解析を行い比較検討した.
【結果と考察】
非経口摂取群は121名,経口摂取群は237名だった.臨床虚弱度(CFS)(P<0.01)と残存歯数(P=0.04)に優位差を認めた(二項ロジスティック回帰分析).初診時のVEでFOISが変化したのは,非経口摂取群では54.5%,経口摂取群では26.6%だった.非経口摂取群ではFOIS1群の禁食と判断された対象者は14.9%へ減少し,経口摂取群ではFOIS7群が8%となり多くの対象者で食形態の調整が必要と判断された.摂取食形態と実際の嚥下機能とは乖離がある事が分かった.12カ月間往診した対象者は90名.逝去や入院など予期せぬ脱落をした対象者は137名,終診とした対象者は131名だった.カイ二乗検定より,非経口摂取群は優位に脱落が多い事が示された(P<0.01).経口摂取の有無と予期せぬ変化は関連しており経口摂取を行う意義があると考察される.また,12カ月往診した対象者の中で7名が非経口摂取群から経口摂取群へとなり,禁食者は28.9%から3.3%へ減少した.継続して介入する事で禁食と判断される対象者は僅かである事が分かった.初診から12カ月後までのFOIS変化は二項ロジスティック回帰分析により残存歯数(P=0.04)と初診時のFOIS(P<0.01)と関連することが示された.継続介入によりFOISが上昇する者は残存歯と関連しており,歯科医師の継続介入による口腔健康管理と摂食嚥下リハビリテーションは有用であると考える.
(COI開示:なし)
(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会D2023-004)