一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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課題口演1
地域包括ケアシステム

2024年6月29日(土) 08:50 〜 10:10 第3会場 (中ホール)

[課題1-2] アプリ併用によるオーラルフレイル予防複合プログラムの効果-カムカム健康プログラムの社会実装への取組-

○松尾 浩一郎1、日高 玲奈1、増田 裕次2、田中 美咲1、丸山 朋華1、杉田 彩実花1、小城 明子3 (1. 東京医科歯科大学大学院 地域・福祉口腔機能管理学分野、2. 松本歯科大学 総合歯科医学研究所、3. 東京医療保健大学 医療保健学部 医療栄養学科)

【目的】
 近年,ヘルスケアサービスのエビデンス構築が進められている。様々な領域のヘルスケアアプリの開発が進んでいる一方で,口腔領域での社会実装はまだ未成熟な状態である。そこでわれわれは,高齢者でも扱えるLINEポータルアプリを用いて,オンラインでつながりオンサイトで共に学べるオーラルフレイル(OF)対策プログラムを開発した。本研究では、予備的検討として,本プログラムによるOFとフレイルの変化への影響を検証した。
【方法】
 2023年の長野県シニア大学の3学部受講の1年生のうち, 132名(男性48名,平均年齢71.4±6.2歳)を対象とした。参加者はLINE公式アカウントを利用したアプリをインストールし,介入前後に,OFチェックリスト(OFI-8)と基本チェックリスト(KCL)の項目を入力した。介入として,月に1回「噛みごたえがあり栄養をしっかり取れる“カムカム弁当”」を食べながら,口の健康,咀嚼,栄養・食事に関する講話を30分程度聴講するカムカム健康プログラムを5回受講した。さらに,アプリからの情報発信と希望者にはチャットコミュニティでのチャットにも参加してもらった。初回アンケート結果からOF高リスクと判断された者には,そのフィードバックとアドバイスもアプリ上から発信した。初回のOFI-8スコアによって,4点以上のOF群と3点以下の健常群の2群に分け,両群における介入前後での比較をノンパラメトリック検定にて行った。
【結果と考察】
 介入前ではOF 群40名(平均OFI-8スコア5.3±1.3),健常群92名(同1.2±1.1)であった。介入後では,平均OFI-8スコアはOF群で4.3±1.8,健常群で1.4±1.6とOF群で有意な改善を示した(P<0.001)。KCLもOF群で有意に改善していた(P=0.043)。OF該当者の割合は,OF群では,40名から26名へと35%減少していた。健常群では,介入後92名中7名(7.6%)がOF該当となっていた。以上の結果より,LINEポータルアプリを活用したOF予防複合プログラムによるオーラルフレイル・フレイルの予防効果が示唆された。今後もOF対策のヘルスケアサービスとして社会実装できるように活動していく予定である。
(COI 開示:なし)
(東京医科歯科大学歯学部倫理審査委員会D2022-001, 松本歯科大学倫理審査委員会承認番号第327号)