[スポンサードレクチャー] 新たに整理されたオーラルフレイルの概念と評価指標(OF-5)について
【略歴】
2006年3月 北海道大学歯学部歯学科卒業
2008年11月 アメリカ・ミシガン大学 客員研究員
2010年3月 新潟大学医歯学総合研究科(口腔生命科学専攻)博士課程修了
2010年4月 新潟大学医歯学総合病院 医員
2010年6月 新潟大学医歯学総合病院 助教
2014年10月 九州歯科大学 准教授
2020年3月 東京都健康長寿医療センター研究所 専門副部長
2020年4月 九州歯科大学 客員教授
2022年4月 東京都健康長寿医療センター研究所 研究副部長
2023年4月 東京都健康長寿医療センター研究所 非常勤研究員(兼任・現在まで)
2023年4月 北海道大学大学院歯学研究院 教授(現在まで)
2006年3月 北海道大学歯学部歯学科卒業
2008年11月 アメリカ・ミシガン大学 客員研究員
2010年3月 新潟大学医歯学総合研究科(口腔生命科学専攻)博士課程修了
2010年4月 新潟大学医歯学総合病院 医員
2010年6月 新潟大学医歯学総合病院 助教
2014年10月 九州歯科大学 准教授
2020年3月 東京都健康長寿医療センター研究所 専門副部長
2020年4月 九州歯科大学 客員教授
2022年4月 東京都健康長寿医療センター研究所 研究副部長
2023年4月 東京都健康長寿医療センター研究所 非常勤研究員(兼任・現在まで)
2023年4月 北海道大学大学院歯学研究院 教授(現在まで)
【抄録(Abstract)】
日本発の概念であるオーラルフレイルに関する国民啓発の推進と多職種連携の強化のために、日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会による「オーラルフレイルに関する3学会合同ワーキンググループ」が2022年に設置されました。ワーキンググループはオーラルフレイルの概念の整理と評価ツールの作成の検討を進め、2024年4月1日「オーラルフレイル3学会合同ステートメント」を公表いたしました。ステートメント内では【オーラルフレイルは口の機能の健常な状態(いわゆる『健口』)と『口の機能低下』との間にある状態である】とその概念を明示しています。
オーラルフレイルはOral frailty 5-item Checklist(以下、OF-5)を用いて評価します。OF-5は以下の5つの項目から構成されます。5項目中2項目以上に該当する場合をオーラルフレイルとします。
①歯数減少:「自身の歯は、何本ありますか」に対して「0~19本」と回答した場合に該当。
②咀嚼困難感:「半年前と比べて固いものが食べにくくなりましたか」に対して「はい」と回答した場合に該当。
③嚥下困難感:「お茶や汁物等でむせることがありますか」に対して「はい」と回答した場合に該当。
④口腔乾燥感:「口の渇きが気になりますか」に対して「はい」と回答した場合に該当。
⑤滑舌低下(舌口唇運動機能の低下):「普段の会話で、言葉をはっきりと発音できないことがありますか」に対して「はい」と回答した場合に該当。
地域在住高齢者を対象とした疫学研究において、OF-5を用いると約4割がオーラルフレイルに該当しました。OF-5でオーラルフレイルと判定された高齢者は、将来の身体的フレイル、要介護認定、死亡のリスクが高いことが示されました。また、OF-5で判定されたオーラルフレイルは、身体的フレイルだけでなく、多様性の低い食事や社会的孤立とも関連することが示されました。「口腔に関するさまざまな機能の軽微な衰え」を、歯科医療専門職が中心となった多職種協働により対応することで、食べる、飲み込む、話すなどさまざまな「口の機能の障害」および身体的フレイル・社会的フレイル・サルコペニア・低栄養といった次のレベルの障害の発症や重症化を食い止めることにつながることが示唆されます。
OF-5は場所を選ばす実施可能です。高齢者が自身の口腔の機能のささいな衰えに早く気づき、周りの人や専門職に積極的に相談するようになる、また、医療・介護などの専門職がハイリスク者と早めに接点を持ち、健診の受診勧奨や通いの場の紹介ができる、等といったOF-5の活用が期待されます。
本発表では、オーラルフレイルの新たな概念図と5項目から構成される評価法(OF-5)について概説いたします。
日本発の概念であるオーラルフレイルに関する国民啓発の推進と多職種連携の強化のために、日本老年医学会、日本老年歯科医学会、日本サルコペニア・フレイル学会による「オーラルフレイルに関する3学会合同ワーキンググループ」が2022年に設置されました。ワーキンググループはオーラルフレイルの概念の整理と評価ツールの作成の検討を進め、2024年4月1日「オーラルフレイル3学会合同ステートメント」を公表いたしました。ステートメント内では【オーラルフレイルは口の機能の健常な状態(いわゆる『健口』)と『口の機能低下』との間にある状態である】とその概念を明示しています。
オーラルフレイルはOral frailty 5-item Checklist(以下、OF-5)を用いて評価します。OF-5は以下の5つの項目から構成されます。5項目中2項目以上に該当する場合をオーラルフレイルとします。
①歯数減少:「自身の歯は、何本ありますか」に対して「0~19本」と回答した場合に該当。
②咀嚼困難感:「半年前と比べて固いものが食べにくくなりましたか」に対して「はい」と回答した場合に該当。
③嚥下困難感:「お茶や汁物等でむせることがありますか」に対して「はい」と回答した場合に該当。
④口腔乾燥感:「口の渇きが気になりますか」に対して「はい」と回答した場合に該当。
⑤滑舌低下(舌口唇運動機能の低下):「普段の会話で、言葉をはっきりと発音できないことがありますか」に対して「はい」と回答した場合に該当。
地域在住高齢者を対象とした疫学研究において、OF-5を用いると約4割がオーラルフレイルに該当しました。OF-5でオーラルフレイルと判定された高齢者は、将来の身体的フレイル、要介護認定、死亡のリスクが高いことが示されました。また、OF-5で判定されたオーラルフレイルは、身体的フレイルだけでなく、多様性の低い食事や社会的孤立とも関連することが示されました。「口腔に関するさまざまな機能の軽微な衰え」を、歯科医療専門職が中心となった多職種協働により対応することで、食べる、飲み込む、話すなどさまざまな「口の機能の障害」および身体的フレイル・社会的フレイル・サルコペニア・低栄養といった次のレベルの障害の発症や重症化を食い止めることにつながることが示唆されます。
OF-5は場所を選ばす実施可能です。高齢者が自身の口腔の機能のささいな衰えに早く気づき、周りの人や専門職に積極的に相談するようになる、また、医療・介護などの専門職がハイリスク者と早めに接点を持ち、健診の受診勧奨や通いの場の紹介ができる、等といったOF-5の活用が期待されます。
本発表では、オーラルフレイルの新たな概念図と5項目から構成される評価法(OF-5)について概説いたします。