The 35th Congress of the Japanese Society of Gerodontology

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高齢者歯科医療現場において、口腔細菌定量検査をどう活用するか

Sat. Jun 29, 2024 2:20 PM - 3:20 PM 第3会場 (中ホール)

座長:菊谷 武(日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)、吉田 光由(藤田医科大学医学部歯科口腔外科学講座)

共催:パナソニック株式会社

[SWS-1] 口腔バイオフィルム感染症―その臨床症状と対応法―

○菊谷 武1 (1. 日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック)

【略歴】
1988年 日本歯科大学歯学部卒業
1988年 日本歯科大学高齢者歯科診療科入局
2001年 附属病院 口腔介護・リハビリテーションセンター センター長 
2005年 助教授
2010年 教授
2012年10月 口腔リハビリテーション多摩クリニック 院長
【抄録(Abstract)】
 障害(児)者及び医療施設や在宅等において療養を行っている患者などにおいては、口腔内の著しい汚染がみられることがある。汚染の原因の一つは、口腔内細菌の著しい増加である。口腔内細菌が増加する理由としては、ADLの低下による口腔清掃能力の低下や、口腔機能の低下による自浄作用の減弱などが考えられる。口腔内細菌が著しく増加するとその他の歯科疾患や口腔粘膜疾患又は誤嚥性肺炎などを引き起こし、生命予後の悪化や生活の質(QOL)の低下を引き起こす。特に前記した療養中の者は、健常者よりも細菌感染に対する抵抗力が弱まっており、口腔内細菌が増加することによって容易に生命の危険が差し迫る状態になることが危惧される。そのような生命の危険を及ぼすような口腔細菌が増加した状態を口腔バイオフィルム感染症と定義される。
 本年度の診療報酬改定において、本感染症の対象者が、障害(児)者及び在宅で療養する者と限られていたが、医療施設に入院中の患者も含まれることになった。これまで、急性期や緩和期にみられる上記の症状に対して、口腔衛生管理を実施する際に適切な病名が存在せず、歯周病等を便宜的に利用してきた実態がある。この場合においても、無歯顎患者への対応も困難であった。一方でこの対応は、適切な保険診療を実施するにおいて、正しいとはいえない側面があった。急性症状等で入院した際の口腔衛生管理の目的は、口腔粘膜疾患又は誤嚥性肺炎の予防、管理である。本疾患の対象者の拡大によって、回復期に至った場合において、本疾患から、歯周疾患等の管理に移行することが可能となり、患者のステージに応じた対応としてできるようになったと考える。
 細菌の量を迅速に測定出来る技術の導入(Panasonic社製の微生物定量分析装置 口腔内細菌カウンタ)は、汚染状況の見える化、客観的かつ迅速な評価、口腔衛生管理の質の評価が可能となったといえる。本セミナーでは、口腔バイオフィルム感染症の考え方と対応法について紹介する。