[SWS-2] 口腔細菌定量検査の運用に関する一考察
【略歴】
1991年 広島大学歯学部 卒業
1996年 広島大学歯学部歯科補綴学第一講座 助手
1998年 博士(歯学)取得
2004年 広島大学大学院医歯薬学総合研究科先端歯科補綴学 講師(学内)
2008年 広島市総合リハビリテーションセンター 医療科部長
2016年 広島大学大学院医歯薬保健学研究科先端歯科補綴学 准教授
2021年 藤田医科大学医学部歯科口腔外科学講座 教授
1991年 広島大学歯学部 卒業
1996年 広島大学歯学部歯科補綴学第一講座 助手
1998年 博士(歯学)取得
2004年 広島大学大学院医歯薬学総合研究科先端歯科補綴学 講師(学内)
2008年 広島市総合リハビリテーションセンター 医療科部長
2016年 広島大学大学院医歯薬保健学研究科先端歯科補綴学 准教授
2021年 藤田医科大学医学部歯科口腔外科学講座 教授
【抄録(Abstract)】
本年度の歯科診療報酬改定により口腔細菌定量検査が、入院患者に適応拡大が図られた。そこで、口腔細菌定量検査を歯周病検査が実施できるような状態になる前の口腔衛生管理に用いることが出来るのではないかと考えている。このような一例として、気管挿管患者の口腔衛生状態の評価として口腔細菌定量検査が利用できるかについて昨年の老年歯科医学会で報告した。ここでは、当院ICUに入院した患者のうち,48時間以上気管挿管されていた20名を対象に,気管挿管中ならびに抜管後の口腔ケア介入前後,計4回の口腔内細菌数について調査した.その結果、気管挿管中の口腔ケア介入前後で口腔内細菌数は有意に減少していた。また、気管挿管中と抜管後の口腔ケア前の口腔細菌数も有意に減少していた。一方で、抜管後の口腔ケア介入前後の口腔細菌数には有意差はなかったことから、気管挿管中の口腔衛生状態の評価に口腔細菌定量検査が利用できることを明らかにした。本年の診療報酬改定により、集中治療室に入室中の患者に対しても周術期口腔機能管理が実施できるようになった。口腔細菌定量検査が周術期口腔機能管理計画策定料等とは別に算定できることから、まずは、気管挿管中の患者に対しては、周術期口腔機能管理の一環として口腔細菌定量検査と口腔バイオフィルム除去処置を実施し、抜管後に歯周病検査を実施して歯周基本治療を行っていくといった適応が考えられる。一方で、気管挿管が長期に至るような患者はわずかであり、抜管後の口腔衛生管理には口腔細菌定量検査ではなく、歯周病検査を用いた方がより適切と思われることから、歯周病検査と口腔細菌定量検査が同月に実施できないということが口腔細菌定量検査の運用において障害になってくる可能性がある。同様に、一般病棟に入院している誤嚥性肺炎患者に対しても呼吸状態の不安定な間は歯周病検査を実施することは困難なため、口腔細菌定量検査によって口腔衛生管理を実施し、その後、歯周病検査を実施していくといった適応を考えているが、ここでも歯周病検査の実施時期が翌月になってしまうといった問題が考えられる。口腔細菌定量検査を入院患者に対して定着させていくためには、このようないくつかの場面を設定して実施していきながら、その有用性と課題を検討していく必要があるものと感じている。
本年度の歯科診療報酬改定により口腔細菌定量検査が、入院患者に適応拡大が図られた。そこで、口腔細菌定量検査を歯周病検査が実施できるような状態になる前の口腔衛生管理に用いることが出来るのではないかと考えている。このような一例として、気管挿管患者の口腔衛生状態の評価として口腔細菌定量検査が利用できるかについて昨年の老年歯科医学会で報告した。ここでは、当院ICUに入院した患者のうち,48時間以上気管挿管されていた20名を対象に,気管挿管中ならびに抜管後の口腔ケア介入前後,計4回の口腔内細菌数について調査した.その結果、気管挿管中の口腔ケア介入前後で口腔内細菌数は有意に減少していた。また、気管挿管中と抜管後の口腔ケア前の口腔細菌数も有意に減少していた。一方で、抜管後の口腔ケア介入前後の口腔細菌数には有意差はなかったことから、気管挿管中の口腔衛生状態の評価に口腔細菌定量検査が利用できることを明らかにした。本年の診療報酬改定により、集中治療室に入室中の患者に対しても周術期口腔機能管理が実施できるようになった。口腔細菌定量検査が周術期口腔機能管理計画策定料等とは別に算定できることから、まずは、気管挿管中の患者に対しては、周術期口腔機能管理の一環として口腔細菌定量検査と口腔バイオフィルム除去処置を実施し、抜管後に歯周病検査を実施して歯周基本治療を行っていくといった適応が考えられる。一方で、気管挿管が長期に至るような患者はわずかであり、抜管後の口腔衛生管理には口腔細菌定量検査ではなく、歯周病検査を用いた方がより適切と思われることから、歯周病検査と口腔細菌定量検査が同月に実施できないということが口腔細菌定量検査の運用において障害になってくる可能性がある。同様に、一般病棟に入院している誤嚥性肺炎患者に対しても呼吸状態の不安定な間は歯周病検査を実施することは困難なため、口腔細菌定量検査によって口腔衛生管理を実施し、その後、歯周病検査を実施していくといった適応を考えているが、ここでも歯周病検査の実施時期が翌月になってしまうといった問題が考えられる。口腔細菌定量検査を入院患者に対して定着させていくためには、このようないくつかの場面を設定して実施していきながら、その有用性と課題を検討していく必要があるものと感じている。