[SY3-2] 高齢者での歯科心身症とその対応
~ 北海道医療大学病院 口腔内科相談外来での対応について ~
【略歴】
2008年3月 北海道医療大学歯学部卒業
2009年4月 医療法人伊東会伊東歯科口腔病院入局
2013年4月 北海道医療大学病院口腔内科相談外来入局
2018年3月 北海道医療大学歯学研究科修了
【資格】
博士(歯学)
公認心理師
日本歯科心身医学会 認定医
日本口腔内科学会 認定医
2008年3月 北海道医療大学歯学部卒業
2009年4月 医療法人伊東会伊東歯科口腔病院入局
2013年4月 北海道医療大学病院口腔内科相談外来入局
2018年3月 北海道医療大学歯学研究科修了
【資格】
博士(歯学)
公認心理師
日本歯科心身医学会 認定医
日本口腔内科学会 認定医
【抄録(Abstract)】
北海道医療大学病院「口腔内科相談外来」に通院する患者のほとんどが歯科心身症であり、患者の多くは中高年の女性である。本外来では、まず症状に影響を与えている器質的変化や明らかな病態の有無について精査し、次に心理社会的・精神医学的背景について充分に検討を行う。精神医学的背景についてはPIPC研究会のマニュアルを用いた問診と、心理検査を行い、精神科や心療内科への対診の必要性の有無について検討する。患者の8割以上は、精神科的背景のないいわゆる「医学的説明困難な口腔症状」(Medically unexplained oral symptom(MUOS)であり、その場合は、本外来で治療介入を行う。本外来で最も多いものが口腔灼熱感症候群(舌痛症)である。一般的に治療介入の際には、心理療法において、支持的精神医学療法と共に破局的思考に焦点を当てた認知行動療法を行う(Odontology 2010)。薬物療法は、ロフラゼプ酸エチルを第一選択薬とし、必要に応じて アミトリプチン、デュロキセチンやミルナシプランの処方を行う(Oral Dis.2021)。高齢者では、年齢による薬物療法の可否や、転倒の危険、併用薬との関係を十分に考慮しながら、必要に応いて他科と連携をとりながらより慎重に行っている。また、高齢者では、全身疾患への罹患や免疫能の低下等から、舌痛の原因にカンジダの増殖が混在している場合が多く、治療にあたっては治療的診断としてカンジダの除菌を積極的に行っている。高齢者に特徴的なもう一つの問題に義歯の不適合がある。うつ状態が義歯の不適合を引き起こすことが知られているために(J.Dent.Res, 2007)、うつや不安に関わる問診や心理検査はより詳細に行っている。うつ状態が義歯不適合の原因と判断された場合には、患者の義歯調整の要求に屈することなく、早期に精神科や心療内科を紹介するようにしている。繰り返す義歯調整から、歯科医師―患者関係の破綻することもあるため、早期の対応が必要であるが、高齢者への理解を促すことがしばしば困難なこともある。本講演では、これらに関わる具体的な症例を提示しながら、高齢者における歯科心身症の特徴と対応法について考察したい。
北海道医療大学病院「口腔内科相談外来」に通院する患者のほとんどが歯科心身症であり、患者の多くは中高年の女性である。本外来では、まず症状に影響を与えている器質的変化や明らかな病態の有無について精査し、次に心理社会的・精神医学的背景について充分に検討を行う。精神医学的背景についてはPIPC研究会のマニュアルを用いた問診と、心理検査を行い、精神科や心療内科への対診の必要性の有無について検討する。患者の8割以上は、精神科的背景のないいわゆる「医学的説明困難な口腔症状」(Medically unexplained oral symptom(MUOS)であり、その場合は、本外来で治療介入を行う。本外来で最も多いものが口腔灼熱感症候群(舌痛症)である。一般的に治療介入の際には、心理療法において、支持的精神医学療法と共に破局的思考に焦点を当てた認知行動療法を行う(Odontology 2010)。薬物療法は、ロフラゼプ酸エチルを第一選択薬とし、必要に応じて アミトリプチン、デュロキセチンやミルナシプランの処方を行う(Oral Dis.2021)。高齢者では、年齢による薬物療法の可否や、転倒の危険、併用薬との関係を十分に考慮しながら、必要に応いて他科と連携をとりながらより慎重に行っている。また、高齢者では、全身疾患への罹患や免疫能の低下等から、舌痛の原因にカンジダの増殖が混在している場合が多く、治療にあたっては治療的診断としてカンジダの除菌を積極的に行っている。高齢者に特徴的なもう一つの問題に義歯の不適合がある。うつ状態が義歯の不適合を引き起こすことが知られているために(J.Dent.Res, 2007)、うつや不安に関わる問診や心理検査はより詳細に行っている。うつ状態が義歯不適合の原因と判断された場合には、患者の義歯調整の要求に屈することなく、早期に精神科や心療内科を紹介するようにしている。繰り返す義歯調整から、歯科医師―患者関係の破綻することもあるため、早期の対応が必要であるが、高齢者への理解を促すことがしばしば困難なこともある。本講演では、これらに関わる具体的な症例を提示しながら、高齢者における歯科心身症の特徴と対応法について考察したい。