一般社団法人日本老年歯科医学会 第35回学術大会

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シンポジウム7
地域特性を踏まえた多職種連携深化のためのチップス

2024年6月30日(日) 09:00 〜 10:30 第2会場 (特別会議場)

座長:佐々木 健(北海道釧路総合振興局 保健環境部 保健行政室(釧路保健所))、平野 浩彦(東京都健康長寿医療センター)

企画:支部運営委員会

[SY7-3] 地域に開かれた拠点として利用者以外とも交流しながら住民と共生する

○渡邊 紀子1 (1. 株式会社ライズリング )

【略歴】
1989年 札幌歯科学院専門学校 歯科衛生士科卒業
1989年~2005年 一般歯科・口腔外科・訪問歯科に勤務
2005年~2013年 居宅介護支援事業所 管理者 主任介護支援専門員として勤務
2012年~ 株式会社ライズリング設立
2013年~ 同法人にて 介護障害事業開設
     デイサービスセンター・ケアプランセンター 雪の華
     地域共生ホーム・相談支援事業所 てまりの華
     児童発達・放課後デイサービス てまりの華おむかいさん
     共生型看護小規模多機能・障害グループホーム あんずの華
     多機能型重症児者デイサービス かりんの華

上記事業所にて 総合施設長・主任介護支援専門員・歯科衛生士・児童発達支援管理責任者として現在に至る
【抄録(Abstract)】
 2005年の介護保険改正で初めて使われた「地域包括ケアシステム」という言葉は、今では一般の方々にも浸透しているイメージがあるものの、実際は言葉だけが独り歩きをしている状況である。
高齢者だけにスポットが当たっているが、地域には「ひきこもり」「医療ケア児」「ひとり親家庭」「ヤングケアラー」など様々な家庭があり、そこには「貧困」「虐待」「介護への行き詰まり」などたくさんの問題が山積している。
このような状況に地域包括ケアシステムはどのように動くものなのか。
 当法人では介護・障害児者の事業所を運営しているが、制度の中だけで完結するものではなく、地域の中で何が必要で私たちには何ができるのかを常に模索している。
地域活動は、一方的に活動すればよいというものではなく、私たちが地域に受け入れらなければ、何ひとつ意味のないものになってしまうのである。
 つまり『地域包括ケアシステム=日常の関わりとお節介』が作り出す地域ネットワークであることに気づき、全職員が顔の見える関係性を大切にしている。
そうすることで本来の地域アセスメントができ、行政や医療や介護につながり地域包括ケアシステムへ自然と導かれる。
この形が本来の「互助」「共助」と考え、事業所も地域もお互いさまの関係がつくられる。
 この中で、歯科医療従事者は蚊帳の外にいてはいけない。歯科医院での関わりや訪問歯科で伺ったご家族が、地域で孤立していないか「お節介」をすることで、救われる人たちがいる事を念頭に置いて、地域包括ケアシステムのピースになることを望んでいる。
 今回のシンポジウムでは、医療福祉の多職種連携はもとより、近隣住民や自治会などとつながりを持つことで、地域包括ケアシステムに位置づく歯科医療のヒントとなると考えている。