日本保育学会第77回大会

ご挨拶

 未曾有のパンデミックを経験した私たちは、これからの時代をいかに生き抜いていくのか、持続可能な社会の発展をいかに目指していくのかについて、考える経験を得たのではないでしょうか。コロナ禍中においては、前例がなく予測しえない事態に直面しつつも、保育界ではそれぞれの場で、様々な保育関係者が主体的に考え、判断し、子どもたちの一番近くで、子どもとその家族のウェルビーイングを支え続ける現実がありました。
 こども家庭庁が創設された今日、私たちは、こどもをまんなかに今後ますますそれぞれの場で、より多様な人々が主体性を発揮しつつ、互いに支え合いながら、それぞれのウェルビーイングを考え、互恵性を大切にしつつ、連携協働を進めていくことが望まれると考えます。
 経済協力開発機構(OECD)では、2015 年から OECD Future of Education and Skills 2030 プロジェクト(Education 2030 プロジェクト)が進められており、さらなる議論と実践の進展も予測されています。
 これらを踏まえて第77回大会では、「保育におけるCo-Agencyを考える」をテーマに設定しました。人(子ども、保護者、保育者等)や、場、立場(園、家庭、地域、行政)等に限定しないより広い社会システムとかかわり、また、実在する社会資源のみに限定することなく、より広く、保育においてそれぞれがウェルビーイングを問い定義しながら、いかに主体的に連携協働を進めていくことが可能なのかを、共に探究していきたいと考えています。
 第77回大会の基調講演では、実に広く、福祉の観点から子どもと家庭をめぐる社会システムの在り方を考え、実際の制度づくりに携わってこられた山縣文治先生から知見を得て、会員それぞれが今後の「保育におけるCo-Agencyを考える」機会としたいと願っています。その他、学会企画シンポジウムや、学会の国際交流委員会とOMEP との共同企画の国際シンポジウム、実行委員会企画シンポジウム、自主シンポジウム、口頭発表、ポスター発表などを予定しています。
 今大会は、不透明な新型コロナウイルス感染症の感染の状況を鑑み、拡大防止の観点からも、オンライン開催とすることとなりました。兵庫県内の保育学関係者を中心に、近畿地方の理事・評議員や、地域の保育実践者・研究者、保育行政機関などの協力を得て、互恵性ある連携協働を図りながら、準備を進めております。会員の皆様の多数のご参加をお待ちいたしております。
一般社団法人日本保育学会第77回大会
実行委員長  北野 幸子