第14回 日本抗加齢医学会総会

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抗加齢をめざす、細胞外環境による幹細胞維持・分化制御の探索

Sun. Jun 8, 2014 10:40 AM - 12:10 PM 第6会場 (1202 12F)

座長:阪井丘芳(大阪大学大学院歯学研究科顎口腔機能治療学教室), 瀬原淳子(京都大学再生医科学研究所)

【座長の言葉】
細胞は細胞外環境により影響を受け、さまざまな発達異常や疾患を生じる一方、障害を受けた組織を修復する働きを担う場合もある。細胞外環境を理解することは重要であり、環境因子をうまく調整しながら、健全な加齢をむかえるための本質が含まれている。
多細胞生物の身体は細胞だけから構成されているのではなく、細胞と細胞の間に細胞外マトリックスと呼ばれる支持組織が充填されている。これが細胞外環境の構成要素であり、細胞は細胞外マトリックスの中に浮かんでいる(化粧品に含まれるコラーゲンやヒアルロン酸もその構成要素である)。そのため、細胞は他の細胞に直接接触して情報を伝える他に、周囲の環境に働きかけて、離れた細胞に指令を送ることになる。細胞外環境はもともと細胞が産生するものであるが、細胞を接着・凝集させる分子、増殖や分化を促す分子、周囲環境を破壊したりする分子も存在する。そして、このような複雑な細胞外環境が、人間を含む多細胞動物の発生過程や、病気の発症・治癒過程において重要な役割を果たしている。
近年、細胞外環境が再生医療に必要な幹細胞維持・分化制御に重要な働きをしていることが報告されており、抗加齢医学にきわめて重要な分野であると考え、本講演を企画した。毛包、腸管、血液、神経、腺組織の幹細胞維持・分化制御と細胞外環境との関わりについて、各分野のトップランナーを招いて議論する予定である。