第14回 日本抗加齢医学会総会

セッション情報

シンポジウム

シンポジウム3

糖化ストレス研究:老廃物の生成と分解を考える

2014年6月6日(金) 13:10 〜 14:40 第6会場 (1202 12F)

座長:米井嘉一(同志社大学大学院生命医科学研究科アンチエイジングリサーチセンター), 稲城玲子(東京大学大学院医学系研究科CKD病態生理学)

【座長の言葉】
老化に伴い臓器や血中に老廃物が蓄積すると生体の恒常性は低下し、それがさらに老化を加速させる。よってなぜ老化が老廃物の蓄積を促すのかを理解することは、老化メカニズムの理解に繋がる。老廃物には不適切な翻訳後修飾(糖化など)によって機能が劣化した老化蛋白が含まれる。本来、糖化修飾は蛋白のターンオーバーに寄与するが、老化した個体では過剰な糖化修飾(糖化ストレス)による老化蛋白形成が亢進し、蛋白恒常性が低下する。恒常性維持のために生体は老廃物形成抑制機構(抗糖化ストレス酵素など)を有するが、それらは老化によって破綻することが分かってきた。また生体は老廃物を分解、排泄する様々な経路を有する。例えば、老化蛋白はマクロファージやオートファジーにより分解され排除され、老化蛋白形成の要因となる機能破綻オルガネラはミトファジーで処理される。興味あることに近年、老化は腎臓での老廃物排泄低下のみならず、一連の老廃物代謝機能の低下を招くことが分かってきた。さらに糖化ストレスに伴う反応においてアミノ酸のラセミ化が生じ、D-アミノ酸含有老化蛋白が蓄積すること、つまり老化が老廃物の質的変化ももたらすこともわかってきた。本シンポジウムでは一連の老化に伴う老廃物生成と分解・代謝のバランスの破綻の機序を総括的に理解し、新たなアンチエイジング療法の可能性を考える。また、老化蛋白など老廃物の生成を予防し、分解排泄機能の低下を防ぐための臨床的ヒントを探る。