○下村吉治, 北浦靖之, 門田吉弘, 石川卓弥 (名古屋大学大学院生命農学研究科)
セッション情報
シンポジウム
シンポジウム22
アンチエイジングのためのアミノ酸学
2014年6月7日(土) 13:00 〜 14:30 第9会場 (1004+1005 10F)
座長:齋藤英胤(慶應義塾大学薬学部薬物治療学), 中牟田誠(国立病院機構九州医療センター消化器内科・臨床研究センター)
【座長の言葉】
高齢化に伴い、現在、筋肉量と筋力の低下である「サルコペニア」が大きな問題となっている。サルコペニアが生じると日常活動の制約はもちろんのこと、転倒などにより骨折を来すと、寝たきり状況に陥る可能性がある。これを防ぐためには、運動による筋肉量と筋力の維持は極めて重要である。これに加えて、分枝鎖アミノ酸を中心とするアミノ酸投与は、筋肉量を増加させ、運動の効果を更に高めることが知られている。一方、筋肉は収縮し力を作用させるという本来の働きに加えて、インスリンの重要な標的であり、また、基礎代謝における脂肪酸酸化など代謝に大きく関与している。従って、筋肉を臓器とすれば、体重の半分近くを占める最大の臓器であり、全身の代謝に対する影響は計り知れない。さらに、今までは、筋肉の代謝への関与は受動的なものとして捉えられてきたが、近年、筋肉が能動的に様々な生理活性物質を分泌し、全身の代謝に大きく作用していることが相次いで報告されている。すなわち、筋肉が内分泌器官としても働いており、筋肉からの分泌蛋白を総称して「マイオカイン」と呼ばれている。本シンポジウムでは、必須アミノ酸、特に分枝鎖アミノ酸によるサルコペニア予防、蛋白同化作用、糖代謝(インスリン抵抗性)や脂質代謝への影響、マイオカイン産生への影響など取り上げていきたい。近年、筋肉における蛋白質の合成と分解のメカニズムや筋肉での糖・脂質代謝も明らかになりつつあり、それらにおいては、分枝鎖アミノ酸が重要な役割を果たしている。今後、分枝鎖アミノ酸を用いた積極的な抗サルコペニアや代謝改善のアンチエイジングが重要である。
○小林久峰 (味の素株式会社健康ケア開発企画部)
○藤田聡 (立命館大学スポーツ健康科学部)
○中牟田誠1, 国府島庸之1, 吉本剛志1, 中村吏1, 大橋朋子1, 福泉公仁隆1, 遠城寺宗近2 (1.国立病院機構九州医療センター消化器内科・臨床研究センター, 2.福岡大学薬学部免疫・分子治療学)