第14回 日本抗加齢医学会総会

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シンポジウム

シンポジウム26

腎臓と老化:人は腎臓から老いる?─腎性老化仮説─

Sun. Jun 8, 2014 9:00 AM - 10:30 AM 第3会場 (1003 10F)

座長:守山敏樹(大阪大学保健センター), 柏原直樹(川崎医科大学腎臓・高血圧内科)

【座長の言葉】
高齢者社会の本格的な到来を迎え、高齢者が例外的な存在ではなく、むしろ診療現場の主体となりつつある。安全な医療を実施する上でも、加齢腎の特徴を知る必要がある。
加齢と腎障害との間には双方向性の関係が存在する。加齢に伴い腎臓には構造的、機能的な変化が生じ、高血圧性腎硬化症とも類似した変化を来す。高齢者では腎血流量の低下、糸球体濾過率低下、Na再吸収能の低下、尿濃縮予備能・希釈力の低下を来す。加齢に伴い血圧は上昇し、高齢者では高血圧の合併例が多い。
一方、腎障害が個体全体の加齢変化を加速する可能性も示されている。抗老化因子として当初同定されたklotho遺伝子は主として遠位尿細管で発現し、加齢や腎障害進展に伴いその発現が減少する。Klothoを代表とする内因性因子の減少~欠如が個体の老化形質を促進するという「腎性老化仮説renal senescence hypothesis」も想定可能ではないかと考えている。
加齢はもちろん修正不可能であるが、加齢に伴う腎臓の機能的・形態的変化には個体差が大きいことも事実である。加齢による腎変化のメカニズムを解明することにより、機能的にも形態的にも少なくとも年齢相応の状態に保つことは不可能なことではない。
本シンポジウムでは、加齢に伴う腎臓の変化のメカニズムとその意義をより深く理解し、個体全体の健康寿命の延伸・維持につながる方策を探求したい。