○斎藤能彦 (奈良県立医科大学第1内科)
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シンポジウム
シンポジウム30
生活習慣病から生じるへフペフ(HFpEF: *H*eart* F*ailure with *P*reserved *E*jection *F*raction)ってなんですか?
Sun. Jun 8, 2014 10:40 AM - 12:10 PM 第10会場 (1006+1007 10F)
座長:北風政史(国立循環器病研究センター臨床研究部・心臓血管内科), 大石充(鹿児島大学心臓血管・高血圧内科学)
【座長の言葉】
心不全は、臨床的に規定された病態・症候群ですが、その医学・科学的な理解は、生理学的概念からなされています。その結果、「心不全=心機能低下」、「心機能低下=心収縮性の低下」という図式は、今から10年ぐらい前までは常識として信じられていました。しかし、心不全は、心機能低下を基盤とするものの、腎不全、水分・塩分過多、血圧変動、呼吸機能低下など多くの心臓以外の因子により、その発症が規定されることが分かってきました。また心機能は、収縮性のみならず心弛緩・拡張機能低下により、規定されることも最近では常識になってきました。この、心弛緩・拡張機能低下により生じる心不全をHFpEF(Heart Failure with Preserved Ejection Fraction)といいます。心弛緩・拡張機能が低下しても、心拍出量は保たれます。しかし、心拍出量を保つために、高い肺静脈圧・肺動脈圧を保たなくてはならず、そのために肺機能異常・右心機能異常をきたすのです。残念なことにこのHFpEFについては、臨床的にも、生理学的にも、分子生物学的にもほとんど分かっていないのが現実です。疫学的検討からは、加齢・高血圧・糖尿病などの因子が大きく関与していることが知られていますが、これらの因子がどのようにHFpEFに関与しているのか、これもよく分かっていません。そのよう中で、新しい臨床的・基礎研究的検討がなされつつあります。今回の4人の講演者は、この分野のエキスパートです。ぜひ、皆さんにHFpEFについて知っていただき、それを克服する方策を一緒に考えていきましょう。
○山本一博 (鳥取大学医学部病態情報内科)
○大原貴裕、北風政史 (国立循環器病研究センター心臓血管内科)
○橋村一彦 (阪和記念病院心臓血管センター)