第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

指定演題

指定演題1
事例セッション 退院支援

2018年6月30日(土) 15:40 〜 16:40 第5会場 (2階 平安)

座長:鴇田 猛(学校法人 鉄蕉館 亀田医療技術専門学校), 座長:箱崎 恵理(千葉県こども病院 副看護局長)

[指定1-2] 退院支援は意思決定支援…とはいっても何をすれば?

宮崎 聡子 (東海大学医学部付属病院 看護部 特別病棟)

退院支援とは、「意思決定支援」と「自立支援」が柱である。患者自身は退院後にどこでどのような療養生活を送りたいと考えているか、医療者には患者の自律的な決定を支援し、それを実現可能とする視点が必要である。
救急・重症集中の場にいる患者・家族は、予期せぬ発病や外傷などにより重篤で身体的にも精神的にも危機的な状態となっていることが多い。自立支援として機能的回復の促進のため、せん妄予防やその対応、早期リハビリに関して積極的に援助している報告は聞かれる。では意思決定支援はどうであろうか。患者・家族の意見が対立する、患者・家族の意見と医療者の見解が対立する、代理意思決定などの倫理的ジレンマや葛藤にたいし、それを察知しチームで検討することが大切であるという認識はある。しかし、入院していったん落ち着いたようにみえても、急激に変わる状況の中で精神的ダメージを受けているであろう患者や家族のことを考えると、すぐに退院についてなんて言い出せない…、また、退院支援加算が導入され入院7日以内に面談をしなければならないが、詳しいことは病状が落ち着いてから一般病棟で考えてもらおう…、と考えるクリティカルケアに携わる看護師もいるのではないか。また一般病棟でも、患者が退院することがゴールと考えていないだろうか。
意思決定を支援するにあたり、やはりタイミングは大切である。救急・重症集中の場でのみで退院支援を検討することは難しい。意思決定支援では、患者の意思を過去・現在・未来の時間軸で捉え、医学的そして看護的判断として適切、適時な病状説明を行い、家族や周囲が話合う、という視点を持ちチームで合意形成を図っていく。クリティカルケアに携わる医療者が、患者の生活をイメージすること、そして患者・家族が入院治療・退院後の生活を考える動機づけを行うことができるように外来・病棟、そして地域と連携し、組織化した学習を発信していくことが必要である。
本セッションでは、救急・重症集中の場面における患者・家族に対して退院支援を考えるとき、どのような対応が求められているのかを事例を検討しながら皆さんとともに学んでいきたい。