第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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指定演題

指定演題2
CNSが介入に難渋した事例

Sun. Jul 1, 2018 9:05 AM - 10:05 AM 第4会場 (2階 福寿)

座長:松本 幸枝(公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属 榊原記念病院 看護管理室), 座長:冨岡 小百合(大阪府立中河内救命救急センター 看護部)

[指定2-2] 多職種連携による意思決定支援

福田 ひろみ (徳島赤十字病院 ICU)

当院は徳島県南部医療圏に位置し、救急医療を中心とした急性期に特化した施設である。「断らない医療」である病院の基本理念を軸に、県下全域の救急重症患者の最後の砦として機能してきた。そして重症患者を治療・看護する中核部署となるICUでは、2016年以降、多職種連携が更に強化されてきた。従来の体制では不在であった理学療法士や薬剤師の専従化、集中治療医師の増員などマンパワーも強化され、これら多職種が一同に介し、患者の治療方針や看護問題について検討・協議できる場を設定できるようになった。現在ではウォーキングカンファレンスとして部署内の業務の一環となり定着してきたという背景がある。このような体制は、クリティカルケアに従事する全国の多くの施設において通常実施されていることであろうが、当院がここまでの体制に強化されたことは、ICUとしても地域医療連携においても大きな進歩でもあった。クリティカルケア看護の対象となる患者・家族には、多くの専門職が関わり、難渋する課題について各々の専門性を発揮しながら問題解決にむけて検討を重ねている。当院が歩んできたこれらの背景を軸に、従来以上にクリティカルケア看護の対象となる患者・家族への全人的支援を強化できる機会が得られたことで、看護スタッフ一丸となって多職種連携による大きな成果も経験することができている。
 一方、多職種が介入することで課題の明確化が困難となり、患者と家族のゴール設定を支援し、関連職種全体で共有することに難渋した事例もある。この事例の一つとして今回、重症呼吸不全によりICUで治療を継続した患者の看護を振り返る機械を得た。CNSとして患者の意思決定支援を行う上で複雑に絡み合う課題を冷静に分析し、介入の方策を検討できたのか、多職種連携を効果的にコーディネーションすることができたのか、本事例を通して改めて検討した。結果、CNSの立場、そして病棟管理者の立場と双方の視点からの課題が明確となった。
 最後に、本事例を話題提供として、本大会のメインテーマである「安全と安心を信頼に繋ぐ」ことについて、クリティカルケア看護に従事する皆さまと共に意見交換させていただきたい。