[指定3-5] 救急外来の安全管理
救急外来では、様々な患者や家族、職種が往来し煩雑な環境になることは少なくない。煩雑な環境では、普段起きないようなミスが起きてしまうことや、単独では害を及ぼさない程度の小さなミスが重なり、大きな過誤(=エラー)が起きてしまう可能性がある。米国、Institute of Medicineの「医療の質に関する委員会」は1999年に、「人は誰でも間違える」「医療は過誤(=エラー)という呪縛からは決して逃れることができない」と、報告した。また、年間44000人の患者が米国内で予防可能な医療事故のために死亡しているとも報告している。しかし、「医療における安全確保の取り組みは、他のハイリスク産業(航空産業など)と比べて10年以上遅れている」とも報告し、医療界の安全管理に警鐘を鳴らしている。日本国内においても医療過誤訴訟がこの30年で数倍に増加し、医療事故防止、リスクマネジメンへの関心が高まっている。そこで、日本では医療の安全に対する意識の普及の一つとして、医療安全全国共同行動においてM&M(Morbidity&Mortality)の導入について報告している。
M&Mカンファレンスとは、「重大事象が起きたときに事実関係を明らかにし、原因を究明すべく関係者でディスカッションし、未来に活かすために個人かつシステムとして学習するプロセス」と言われるカンファレンス方法の一つである。
当院の救命救急センター(以下、当救命センター)では、救急外来の医療の安全・質を追求するために2015年度より医師・看護師合同のM&Mを導入した。2014年度までの当救命センターでは、救急外来での死亡症例の事象の把握や確認を研修医や指導医のみで行う「デス」カンファレンスを月に一度行なっていた。「デス」カンファレンスでは、死亡症例から医師各個人の修練・知識・技術などの習得、予期せぬ死亡症例を減少させることに努められていた。しかし、2015年度より医師だけではなく看護師もカンファレンスへ参加し、医療の安全・質の追求をチームで行うようにした。また、対象事例を死亡症例だけではなく、全ての有害事象に変更した。頻度は、有害事象が発生した場合に開催を行うようにしたため、1から3ヶ月に一度程度であった。今までに開催したM&Mの内容は、人工呼吸器装着患者の呼吸管理、再挿管患者の抜管時期・判断、DVT予防方法について、輸血投与についてなどであった。
M&Mカンファレンスとは、「重大事象が起きたときに事実関係を明らかにし、原因を究明すべく関係者でディスカッションし、未来に活かすために個人かつシステムとして学習するプロセス」と言われるカンファレンス方法の一つである。
当院の救命救急センター(以下、当救命センター)では、救急外来の医療の安全・質を追求するために2015年度より医師・看護師合同のM&Mを導入した。2014年度までの当救命センターでは、救急外来での死亡症例の事象の把握や確認を研修医や指導医のみで行う「デス」カンファレンスを月に一度行なっていた。「デス」カンファレンスでは、死亡症例から医師各個人の修練・知識・技術などの習得、予期せぬ死亡症例を減少させることに努められていた。しかし、2015年度より医師だけではなく看護師もカンファレンスへ参加し、医療の安全・質の追求をチームで行うようにした。また、対象事例を死亡症例だけではなく、全ての有害事象に変更した。頻度は、有害事象が発生した場合に開催を行うようにしたため、1から3ヶ月に一度程度であった。今までに開催したM&Mの内容は、人工呼吸器装着患者の呼吸管理、再挿管患者の抜管時期・判断、DVT予防方法について、輸血投与についてなどであった。