第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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教育講演

教育講演9
医療事故調査制度における医療安全への取り組み ~看護職に期待されること~

Sun. Jul 1, 2018 1:40 PM - 2:40 PM 第3会場 (2階 桃源)

座長:高見沢 恵美子(関西国際大学)

[EL9] 医療事故調査制度における医療安全への取り組み ~看護職に期待されること~

畑 涼子 (日本医療安全調査機構)

「医療事故調査制度」は、医療機関で起きた予期しない死亡事例を自ら「院内調査」として振り返り、その原因を明らかにし、臨床現場の改善、ひいては、患者安全向上に繋がることが期待されている。医療事故調査・支援センターは、その貴重な調査結果を集積し有効な再発防止策を提言することで、個々の医療機関の経験を医療界全体の安全課題として活かしていく仕組みとなっている。
平成30年3月末現在、制度開始から2年半を経過し、センターには547件の貴重な報告書が集積されている。これらの事例は、診療科や疾患、提供された医療行為は、多種多様である。その中で重要なテーマを順次抽出し、「中心静脈穿刺に関連した死亡事例」、「肺血栓塞栓症に関連した死亡事例」「アナフィラキシーに関連した死亡事例」の報告書がまとめられたところである。今後は、気管切開後早期のチューブ迷入、腹腔鏡下胆嚢摘出術、胃管誤挿入に関連した事例、人工呼吸器に関連した事例を分析し、再発防止の提言を予定している。
事例の検討には、看護職に参加協力いただいている。死亡に至らないためにはどうしたらよかったかを分析する過程では、「いかに患者のサインを把握するか、特にearly signを見逃さずに、共有するか」が重要であると痛感する。また、医療は、医師だけ、看護師だけで提供するものではなく、チームで提供するプロセスである。特に、現代の専門分化した医療においては、患者のサインを受け取った看護師の切迫感をも含めた情報を共有しあえるような「チーム医療」が、安全な医療のために求められている。
また、事例を振り返る際には、「観察内容」や「報告のタイミング」など、看護専門職としての判断や行動が問われる部分が必ず存在する。提供した看護が適切であったのかを分析し、より良い対応に言及することが、次世代の安全な看護へ繋がることと期待している。