第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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交流集会

交流集会7
安全管理が求められる救急外来での院内トリアージ:トリアージは行なった後の評価が重要

Sun. Jul 1, 2018 2:50 PM - 4:30 PM 第5会場 (2階 平安)

座長:木澤 晃代(日本大学病院 看護部), 座長:山下 直美(東京医科歯科大学医学部附属病院 看護部(中央診療部))

[交流7-4] トリアージナース育成の観点からトリアージの質の保証を考える

背戸 陽子 (日本医科大学付属病院 医療安全管理部)

平成24年度診療報酬改定時に初診時の院内トリアージ実施料が算定できるようになった。現在においては、多くの施設でトリアージナースが患者の症候から得られた情報を基に緊急度判定を行っている。しかし、トリアージナースが実際の緊急度判定を行う上で、患者の症候から得られる情報から緊急度判定するための専門的知識や、技術の修得のほかに、患者や家族、また医療者間や多職種とのコミュニケーションなど、本来トリアージナースがもつべき個人的特性や知識的特性に関連した部分で生じるストレスがかかると言われている。緊急度判定は救急外来における業務の一過程であり、施設で標準化されたガイドラインに基づき、患者の評価や治療の優先度を判断することである。そして、患者が治療をうけるまで安全に待つ時間を決定することである。そのために、トリアージナースは自分が行った緊急度判定が妥当であったか、適切な症候選定の適正や、緊急度判定の整合性、時間経過の適正、再評価の適正、臨床推論の評価などを検証し、より充実した緊急度判定ができるようにしていかなければならない。検証の方法も看護師間での一次検証を行い、問題症例を抽出する。そして、メディカルアドバイザーでもある医師と医学的に二次検証を行い、トリアージナースに医学的見地からのアドバイスを行うことでよりトリアージの質の保証につながる。緊急度判定を行うだけでもストレスフルな状況であるにも関わらず、検証時の振り返りはネガティブな出来事を取り扱うことが多い。振り返りを行う看護師にとって安全な環境が保証できないと有効な学びへとつながらないと考える。そのために振り返る作業で使われる能力として情報を客観的に分析、吟味する能力を磨くことで、重要な問題を論理的に考えることができ、自ら問題解決に取り組むことが可能になると考える。決してネガティブな物事ばかりでなく、あっぱれ事例なども振り返ることも必要である。そのように実際の緊急度判定の検証を繰り返し行い、トリアージナースで情報を共有することで疑似体験をし、自分ひとりだけで立ち向かわなければならない重圧を緩和することができ、共同で問題解決に取り組むことができる。そして、問題解決に結びつけるためにより高い目標を設定することもできる。このようなトリアージナースを育成することが患者が治療まで安全に待つことのできる適正な緊急度判定につながると考える。