[O1-3] 人工呼吸器離脱プロトコールを用いた看護師によるウイニングの効果
【目的】本研究の目的は、人工呼吸器離脱プロトコール(以下プロトコール)を用いて看護師が主体的にウイニングを実施した効果を明らかにすることである。【方法】研究デザイン:前後比較研究。プロトコールを用いないウイニングを<前>とし、プロトコールを用いたウイニングを<後>とした。対象者:対象患者は、3施設のICUで48時間以上人工呼吸療法を受け、離脱が見込めると主治医が判断した<前>28名, <後> 28名。期間:平成26年12月~平成29年12月。<前>期間3か月~5か月、<後>期間2か月~3か月。研究方法:<前>は、各施設の医師が主体的にウイニングを実施した。<後>は、看護師が医師の包括的指示のもと主体的にプロトコールを用いてウイニングを実施した。このプロトコールは、3学会(日本集中治療医学会、日本クリティカルケア看護学会、日本呼吸療法医学会)が合同で策定した人工呼吸器離脱プロトコールで、その内容は、SAT(Spontaneous Awakening Trials)開始基準、SAT実施、SBT(Spontaneous Breathing Trial)開始基準、SBT実施、抜管の検討、抜管、抜管後の評価で構成されている。測定項目:患者背景(年齢、疾患、入院状況)、ICU在室日数、気管挿管日数、人工呼吸器装着日数とした。【分析方法】ICU在室日数、気管挿管日数、人工呼吸器装着日数は、カプランマイヤー(Kaplan-Meier)生存曲線分析法を用いた。【倫理的配慮】本研究は、研究協力者の所属する施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した。対象者には、実施前に口頭及び文書で説明し同意を得て実施した。【結果】対象患者の年齢は、<前>71.5±12.0歳(平均±SD(以下同)), <後> 69.2±14.4歳であった。疾患は、循環器疾患:<前>9名, <後>10名、呼吸器疾患:<前>9名, <後>8名、脳神経疾患:<前>3名, <後>5名、その他:<前>7名, <後>5名であった。入院状況は、予定入院:<前>1名, <後>2名、緊急入院:<前>27名, <後>26名であった。ICU在室日数は、<前>8.7±3.4日, <後> 6.0±3.1日、気管挿管日数は、<前>5.9±2.6日, <後>4.0±1.8日、人工呼吸器装着日数は、<前>6 5±2.5日, <後>4.0±1.8日であった。生存曲線分析では、ICU在室日数、気管挿管日数、人工呼吸器装着日数ともに、<後>の方が有意に短かった(P<0.001)。【考察】看護師がプロトコールを用いることで、ウイニングでの実践内容が明確になり、離脱促進につながったと考える。また、ウイニングまでの経過が視覚化され、看護師間だけでなく他職種との情報共有が容易になると考える。プロトコールを用いて看護師が主体的にウイニングを実施したことで、ICU在室日数、気管挿管日数、人工呼吸器装着日数を短縮できた。したがって看護師がプロトコールを用いることは、患者に効果的なウイニングが提供でき、人工呼吸療法の長期化を防ぐことが期待できる。