第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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一般演題(口演)

一般演題(口演) O10群
創傷ケア・口腔ケア

Sun. Jul 1, 2018 1:40 PM - 2:30 PM 第6会場 (2階 瑞雲)

座長:小澤 美津子(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院), 座長:有澤 文孝(地方独立行政法人東金九十九里地域医療センター・東千葉メディカルセンター)

[O10-4] 高度救命救急センターにおける口腔トラブルの現状と看護ケアの考察

坂本 典子, 友清 敏之 (佐賀大学医学部附属病院)

【はじめに】高度救命救急センターに入室する患者は、絶食管理、人工呼吸器管理が必要な場合も多く口腔状態が悪化しやすい。口腔状態の悪化は、誤嚥性肺炎や人工呼吸器関連肺炎などの原因になると言われており、全身管理の面からも口腔内の清潔保持が重要である。A病院EICUでは、毎日全ての入院患者を対象にEilers口腔アセスメントガイドを改訂した口腔ケアアセスメントガイド(以下、アセスメントガイド)を使用し、口唇、舌、唾液、粘膜、歯肉、歯と義歯、口蓋、歯牙動揺の8項目を点数化し評価している。アセスメントガイドの点数は、8点から23点とし、点数の低い方が口腔状態は良好としている。また、口腔状態に合わせたケアをチェック方式で選択し、必要なケアを看護指示に記載している。そこで今回は、口腔トラブルの現状と看護指示の有無による口腔トラブルの経過の違いを明らかにし、良好な口腔状態を保つための看護ケアについて考察した。【方法】研究対象:EICU入院患者のうち、口腔ケアアセスメントガイドを3日以上使用した97人。研究期間:2017年5月~2017年12月。研究方法:入院から24時間以内(以下、入院時)とアセスメントガイドの合計点数が最も悪い時(以下、増悪時)、EICU退出時やアセスメントガイドの評価終了時(以下、終了時)の3つの時点において、アセスメントガイドの点数と口腔トラブルに関する看護指示の有無及びその内容を診療記録より抽出した。さらに、看護指示の有無による増悪時と終了時のアセスメントガイド合計点の差を比較した。分析は、JMPVer.13を用い2群間の比較にはt検定を行った。倫理的な配慮:所属施設の倫理審査会で承認を得た。【結果】看護指示の記載状況は、対象患者97人のうち指示あり群65人、指示なし群32人であった。増悪時と終了時のアセスメントガイド合計点の差は、対象患者全員を看護指示あり群と指示なし群で分けるとp値:0.001(p<0.05)で統計的有意差が見られた。増悪時の口腔トラブルの状態は、口腔内乾燥77人、口腔汚染71人、舌苔71人、口唇乾燥53人、口蓋汚染30人、歯肉潰瘍・出血26人、口唇出血・潰瘍17人、歯牙動揺13人、口蓋潰瘍・出血4人であった。看護指示の内容は、口唇保湿45人、口腔観察28人、口腔内保湿23人、舌苔ケア22人、チューブ除圧22人、十分なブラッシング10人、歯牙動揺の観察7人、口蓋ケア1人であった。【考察】増悪時と終了時のアセスメントガイド合計点の差は、看護指示の有無で比較すると、指示あり群の方が指示なし群より点数の改善が見られた。この結果から、看護指示により統一した口腔ケアが継続でき、口腔状態の改善に繋がった事が考えられ、口腔トラブルの改善には、看護指示による継続したケアを行っていく事が重要であると示唆された。口腔トラブルの状態は、口腔内乾燥、口腔汚染、舌苔、口唇乾燥が多く、看護指示の内容は、口唇保湿や口腔観察、口腔内保湿、舌ケア、チューブ除圧の順に多かった。口腔トラブルの状態と看護指示の内容を比較すると、口腔内保湿、十分なブラッシング、舌ケアの看護指示は少なく、口腔トラブルに合せた看護指示が十分では無いことがわかった。口腔トラブルで多かった口腔内乾燥、口腔汚染、舌苔を予防し悪化を防ぐ為には、口腔状態に合わせて口腔内保湿、十分なブラッシング、舌ケアを早期から行う事が必要であると考えられる。