[O4-1] CCUに救急入院した心不全患者のリビングウィルに関する実態調査
【目的】CCUに救急入院した心不全患者のリビングウィルに関する実態を明らかにする【方法】研究対象はCCUに入院した心不全患者を対象とした。データ収集期間・機関は、2016年6月~2017年6月、A病院とした。データ収集方法はCCU退室時にアンケート用紙を渡し、記載を依頼した。個人属性に関してはカルテから情報を収集した。アンケートの内容は、「リビングウィルの認識」「リビングウィルを確認してほしい時期」「患者が望む治療方法」とし、治療の選択については患者が理解しやすいように治療に関するイラストを提示した。データ分析ソフトは、IBMのSPSSソフトver19を用いて男女、年代、職業、学歴を初回入院患者と複数入院患者の「リビングウィルの認識」、「リビングウィルを確認する時期」、「患者が望む治療方法」をクロス集計し、PearsonのX2検定で分析した。倫理的配慮は対象者に同意を得、アンケート用紙は個人が特定されないよう無記名とした。A病院の看護研究倫理委員会の承認を得た後、研究を開始した。【結果】調査期間中CCUに緊急入院し、一般病棟へ退室した50人にアンケートを配布した結果36人(72%)の回答を得られた。リビングウィルについて聞いたことがない人は29人(80.6%)、ある人が7人(19.4%)であった。リビングウィルについて自分で決定したい人が25人(69.4%)、決定したくない人が6人(16.7%)、無回答が5人(13.9%)であった。リビングウィルの説明を受ける時期はBNP200pg/ml以下の人は「一般病棟」が多かった(P<0.05)。緩和ケアについては、終末期に苦痛の緩和を除去する治療を望んでいるが、死期が迫ったときには「自然に迎えたい」と「わからない」という意見が多かった。希望する治療については、自然に迎えるが12人、わからないが11人、心臓マッサージが7人、ペースメーカが7人、人工呼吸器が4人、透析が4人、高カロリー輸液が4人、水分補給点滴が4人、電気ショックが2人、胃瘻が1人、PCPSが0人であった。【考察】リビングウィルについての認識は、リビングウィルについて聞いたことがある人は少ないが、自分でリビングウィルを決定したい人の割合は多いことが示唆された。リビングウィルを自分で決めたい心不全患者において、リビングウィルの認識の向上が必要と考えられる。医師からの説明を受ける時期は一般病棟を希望した割合が多くBNPが低い患者ではCCUでの説明を希望した。BNPが高い患者では一般病棟での説明を希望した。また告知してほしくない人も多かった。心不全患者のリビングウィルは入院の度に患者の状態が落ち着いた時点で患者へ説明確認をしていく必要があると考えられる。心不全緩和治療について患者は、苦痛を除去する治療を望んでいることがわかった。患者と意思疎通が図れる段階で患者の望む治療を確認しておくことで緩和ケアを導入しやすいのではないかと考える。患者が望む侵襲的治療で多かったのが、心臓マッサージとペースメーカであった。全国的に心肺蘇生処置の普及活動が一般市民へ実施されており、Iwami et alは「胸骨圧迫のみの心肺蘇生によって社会復帰した推計される院外心停止数が増加した」と述べている。一般国民が心肺蘇生処置を身近に感じていることが、心臓マッサージが多かった背景と考えられる。今回の結果では、PCPSによる治療を患者は望んでいなかった。早期から心不全の経過と共に今後の治療や病気についてリビングウィルを想起できるようアドバンス・ケア・プランニングを行い患者が望む治療・生活に寄り添える医療を提供していくことが必要であると考える。