[O4-5] 救命救急センター集中治療期において看護師が終末期ケアに抱いている困難感
1.目的
救命救急センター集中治療期において、看護師が終末期ケアに関して抱いている困難要素を明らかにする。
2.方法
1.対象:集中治療期において終末期ケアに関わった経験のある看護師のうち、研究参加
に同意が得られた46名。
2.期間:2017年10月~2018年1月
3.方法:
1)データ収集:先行文献を参考に、独自に作成した質問紙を用い、終末期にある患者へ
のケアや業務上の困難感を記述式で調査した。
2)データ分析方法:回答をデータとしてコード化し、類似性・特異性に着目してサブカ
テゴリー化、カテゴリー化した。
4.倫理的配慮
研究の主旨と参加・不参加の自由、個人情報の保護を文書と口頭にて説明し同意を得た。不参加や中止の際も不利益は一切生じないことを保証した。得られたデータは研究者のみで取り扱い、本研究以外では使用しないようにした。本研究は、所属施設の看護研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
3.結果
コードを「斜体」、サブカテゴリーを〈 〉、カテゴリーを【 】で示す。終末期ケアにおける確認事項や調整等のうち、補助循環装置に関しては〈終了時期や離脱時期の難しさ〉など【治療の管理やその限界、目標の見えない状況】にジレンマがあった。また、「離脱時期の判断が患者の死期決定に関連している」と感じ「補助循環が家族の意向をくみ取ったものではなかったことを知った時に落胆」するなど、【選択肢・治療そのものへの看護師の倫理的感受性】が明らかになった。同様に呼吸管理に関しては、「挿管中の患者に意識があり、チューブを取ってとジェスチャーされた時」など【治療が患者や家族の苦しみとなっている事を知った時の看護師の困難】があった。看護師は〈切迫した状況でのDNAR取得に対する戸惑い〉に葛藤しながらも〈家族の理解や思いを心配する〉、〈患者の思いを察する〉ことで、患者や家族に関わっていた。
看護師には、<代理意思決定自体が患者の意思を尊重されているのか疑問に思う>などの状況に応じた対応の難しさや意思決定支援そのものへの躊躇があった。しかし、その反面、看護師は【意思決定支援のありよう】を心がけるなど、困難感を持ちながらも大切なケアであることを認識していた。
4.考察
看護師は、補助循環、呼吸管理など生命に直結する治療の是非について、状況が患者や家族にとって最善であったのかに常に疑問を持ち、困難感やジレンマを抱いていた。そして、患者や家族へ繊細な配慮を持ちながら直接的アプローチをし、病床を管理的アプローチの視点で考えていた。集中治療における終末期のケアにおいて、意思決定支援や情報提供に困難さを抱えながらもそれらを終末期医療における重要なケアの要素としてとらえ実践していた。その要素は、ガイドラインで推奨されている終末期ケアのCoreCompetency と合致している。看護師が重要視しているケアの共有や職種間に生じているジレンマを発信したり解決できるよう、カンファレンスを事例毎に開催するなど、ケアや対応のチーム内合意形成に取り組んでいく必要がある。また、このことは、看護師の終末期患者や家族と関わる困難感の軽減や苦手意識をもつことなく介入できる糸口となる可能性があると考える。
6.結論
1.救命救急センターの看護師は、終末期治療やケア上の確認事項と共に、患者や家族
の思いやQOLに関することにジレンマや困難感を抱いていた。
2.看護師が集中治療期における終末期ケアに困難感を感じている要素は、看護師個々
が大切にしたいと心がけている要素と合致していた
救命救急センター集中治療期において、看護師が終末期ケアに関して抱いている困難要素を明らかにする。
2.方法
1.対象:集中治療期において終末期ケアに関わった経験のある看護師のうち、研究参加
に同意が得られた46名。
2.期間:2017年10月~2018年1月
3.方法:
1)データ収集:先行文献を参考に、独自に作成した質問紙を用い、終末期にある患者へ
のケアや業務上の困難感を記述式で調査した。
2)データ分析方法:回答をデータとしてコード化し、類似性・特異性に着目してサブカ
テゴリー化、カテゴリー化した。
4.倫理的配慮
研究の主旨と参加・不参加の自由、個人情報の保護を文書と口頭にて説明し同意を得た。不参加や中止の際も不利益は一切生じないことを保証した。得られたデータは研究者のみで取り扱い、本研究以外では使用しないようにした。本研究は、所属施設の看護研究倫理審査委員会の承認を得て実施した。
3.結果
コードを「斜体」、サブカテゴリーを〈 〉、カテゴリーを【 】で示す。終末期ケアにおける確認事項や調整等のうち、補助循環装置に関しては〈終了時期や離脱時期の難しさ〉など【治療の管理やその限界、目標の見えない状況】にジレンマがあった。また、「離脱時期の判断が患者の死期決定に関連している」と感じ「補助循環が家族の意向をくみ取ったものではなかったことを知った時に落胆」するなど、【選択肢・治療そのものへの看護師の倫理的感受性】が明らかになった。同様に呼吸管理に関しては、「挿管中の患者に意識があり、チューブを取ってとジェスチャーされた時」など【治療が患者や家族の苦しみとなっている事を知った時の看護師の困難】があった。看護師は〈切迫した状況でのDNAR取得に対する戸惑い〉に葛藤しながらも〈家族の理解や思いを心配する〉、〈患者の思いを察する〉ことで、患者や家族に関わっていた。
看護師には、<代理意思決定自体が患者の意思を尊重されているのか疑問に思う>などの状況に応じた対応の難しさや意思決定支援そのものへの躊躇があった。しかし、その反面、看護師は【意思決定支援のありよう】を心がけるなど、困難感を持ちながらも大切なケアであることを認識していた。
4.考察
看護師は、補助循環、呼吸管理など生命に直結する治療の是非について、状況が患者や家族にとって最善であったのかに常に疑問を持ち、困難感やジレンマを抱いていた。そして、患者や家族へ繊細な配慮を持ちながら直接的アプローチをし、病床を管理的アプローチの視点で考えていた。集中治療における終末期のケアにおいて、意思決定支援や情報提供に困難さを抱えながらもそれらを終末期医療における重要なケアの要素としてとらえ実践していた。その要素は、ガイドラインで推奨されている終末期ケアのCoreCompetency と合致している。看護師が重要視しているケアの共有や職種間に生じているジレンマを発信したり解決できるよう、カンファレンスを事例毎に開催するなど、ケアや対応のチーム内合意形成に取り組んでいく必要がある。また、このことは、看護師の終末期患者や家族と関わる困難感の軽減や苦手意識をもつことなく介入できる糸口となる可能性があると考える。
6.結論
1.救命救急センターの看護師は、終末期治療やケア上の確認事項と共に、患者や家族
の思いやQOLに関することにジレンマや困難感を抱いていた。
2.看護師が集中治療期における終末期ケアに困難感を感じている要素は、看護師個々
が大切にしたいと心がけている要素と合致していた