[O5-1] 循環器疾患患者が入院環境に抱くストレス―ICUと一般病棟で患者の抱くストレスはどのように異なるか―
【研究背景】ICUでの治療を受ける患者は特殊な療養環境で侵襲的治療を受けることも多く、一般病棟に入院する患者とは異なるストレスを抱えているのではないかと考えた。そこで今回は、ICUに入院となった患者と一般病棟に入院となった患者ではストレスの度合いや内容にどのような差異があるのかについて明らかにすることを目的とし調査・検討を行った。
【研究方法】2017年9月~12月下旬までに循環器専門A病院ICUおよび一般病棟へ入院した患者を対象に、入院生活のストレスに関わる内容とストレスの程度について質問紙調査を実施した。尺度には、川口らが作成し、入院環境により患者がストレスと感じる要因38項目からなるストレス場面アンケートを使用。尺度使用に当たっては開発者へ承諾を得た。ストレスの程度については、4.当てはまる、3.やや当てはまる、2.あまり当てはまらない、1.全く当てはまらない、の4段階リッカートスケールで評価するとともに、38項目の得点の合計をストレス得点とし分析を行った。療養環境と入院期間がストレスの度合いに関連すると考え、ICU群、一般病棟群、短期入院となるクリティカルパス群の3群に分類し、ストレスの度合いとストレス要因の差異について、有意水準5%未満とし統計学的に分析を行った。
【倫理的配慮】研究の趣旨、自由意思の尊重、個人情報保護の厳守などについて記した説明文書を用い研究者が直接対象者へ説明を行い、同意が得られた対象者へのみ質問紙を配布した。質問紙は無記名自記式とし、封シール付き封筒を調査票と共に配布し回収した。患者への身体的負担を最小限にとどめるため、一般病棟群へは治療が終了し退院が決定した時期に、クリティカルパス群は退院前日に質問紙を配布した。ICU群へはICU在室中の記憶が残っている時期を考慮し、病状が安定しICUを退室後2~3日目に質問紙を配布した。尚、本研究は当該施設倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】ICU群22名(23.2%)、一般病棟群36名(37.9%)、クリティカルパス群37名(38.9%)より回答を得た。入院環境によるストレスの内容の差異について比較した結果、「されている治療の内容が分からないこと(p=0.01)」の1項目はICU群でストレスに感じている患者の割合が有意に多く、「同じ部屋に他人が寝ていること(p=0.00)」「手術・検査のことを考えると不安(p=0.02)」「看護師・医師の立てる音が気になること(p=0.01)」「手術のことで心が痛むこと(p=0.05)」「同室者が重病で話しが出来ないこと(p=0.04)」の5項目は一般病棟群でストレスに感じている患者の割合が有意に高かった。その他32項目においては有意差を認めず、ストレス場面アンケート38項目の得点を合計した得点においても群間に有意差は無かった(ICU群: 64.5点 vs. 一般病棟群: 65.7点 vs. クリティカルパス群: 67.7点, p=0.79)。
【考察】ICU群においては、「されている治療の内容が分からないこと」にストレスを感じている患者の割合が高かった。医師、看護師は治療やケアを行う前に説明を行ってはいるが、患者の状態によっては患者が状況を理解できているか否かに関わらず治療や処置を最優先に行わなければならない状況もある。医療者は患者がこのことにストレスを感じていることを念頭に置き、優先すべき治療や処置を終えたあとに補足説明を行うなどのケアを行っていく必要がある。
【結論】ICU患者においては、行われている治療の内容がわからない事にストレスを感じる者が多いことが明らかとなった。
【研究方法】2017年9月~12月下旬までに循環器専門A病院ICUおよび一般病棟へ入院した患者を対象に、入院生活のストレスに関わる内容とストレスの程度について質問紙調査を実施した。尺度には、川口らが作成し、入院環境により患者がストレスと感じる要因38項目からなるストレス場面アンケートを使用。尺度使用に当たっては開発者へ承諾を得た。ストレスの程度については、4.当てはまる、3.やや当てはまる、2.あまり当てはまらない、1.全く当てはまらない、の4段階リッカートスケールで評価するとともに、38項目の得点の合計をストレス得点とし分析を行った。療養環境と入院期間がストレスの度合いに関連すると考え、ICU群、一般病棟群、短期入院となるクリティカルパス群の3群に分類し、ストレスの度合いとストレス要因の差異について、有意水準5%未満とし統計学的に分析を行った。
【倫理的配慮】研究の趣旨、自由意思の尊重、個人情報保護の厳守などについて記した説明文書を用い研究者が直接対象者へ説明を行い、同意が得られた対象者へのみ質問紙を配布した。質問紙は無記名自記式とし、封シール付き封筒を調査票と共に配布し回収した。患者への身体的負担を最小限にとどめるため、一般病棟群へは治療が終了し退院が決定した時期に、クリティカルパス群は退院前日に質問紙を配布した。ICU群へはICU在室中の記憶が残っている時期を考慮し、病状が安定しICUを退室後2~3日目に質問紙を配布した。尚、本研究は当該施設倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】ICU群22名(23.2%)、一般病棟群36名(37.9%)、クリティカルパス群37名(38.9%)より回答を得た。入院環境によるストレスの内容の差異について比較した結果、「されている治療の内容が分からないこと(p=0.01)」の1項目はICU群でストレスに感じている患者の割合が有意に多く、「同じ部屋に他人が寝ていること(p=0.00)」「手術・検査のことを考えると不安(p=0.02)」「看護師・医師の立てる音が気になること(p=0.01)」「手術のことで心が痛むこと(p=0.05)」「同室者が重病で話しが出来ないこと(p=0.04)」の5項目は一般病棟群でストレスに感じている患者の割合が有意に高かった。その他32項目においては有意差を認めず、ストレス場面アンケート38項目の得点を合計した得点においても群間に有意差は無かった(ICU群: 64.5点 vs. 一般病棟群: 65.7点 vs. クリティカルパス群: 67.7点, p=0.79)。
【考察】ICU群においては、「されている治療の内容が分からないこと」にストレスを感じている患者の割合が高かった。医師、看護師は治療やケアを行う前に説明を行ってはいるが、患者の状態によっては患者が状況を理解できているか否かに関わらず治療や処置を最優先に行わなければならない状況もある。医療者は患者がこのことにストレスを感じていることを念頭に置き、優先すべき治療や処置を終えたあとに補足説明を行うなどのケアを行っていく必要がある。
【結論】ICU患者においては、行われている治療の内容がわからない事にストレスを感じる者が多いことが明らかとなった。