[O5-4] 人工呼吸器が装着されていた患者のICU入室中の体験
【目的】 近年、人工呼吸中の成人患者に対する鎮静は意思疎通が図れる程度に浅く管理することが広まっている。そのため、ICUに入室中している人工呼吸器装着患者は、以前と比べて覚醒している時間が増え、筆談等で意思疎通が可能なことも多い。海外では、こうした患者がICU入室中にどのような体験をしていたのかを明らかにするための研究が進んできているが、国内では同様の研究が少ない現状がある。このため、本研究では、ICUにおいて人工呼吸器が装着されていた患者が、ICU入室中にどのような体験をしていたのかを明らかにし、ICUにおける看護支援を検討することを目的とした。
【方法】
1. 研究デザイン:質的記述的デザイン
2. 研究対象者:A大学病院ICUにおいて、術後12時間以上人工呼吸器を装着していた75歳未満の上部消化管外科・心臓血管外科の成人患者のうち、すでにICUを退室し歩行できる程度まで回復しており、インタビューの回答に支障がなく、研究への参加に同意が得られた者。
3. データ収集期間:平成29年1月~平成29年6月
4. データ収集方法:インタビューガイドを用いた自由回答法による半構造化面接
5. データ分析方法:面接内容の逐語録をデータとし、データが示す本質的意味を見出すために、Krippendorffの内容分析の手法を用いて分析を行った。
6. 倫理的配慮:本研究はA大学臨床研究倫理委員会の承認を得て実施した(16-209)。対象候補者には本研究の目的及び方法、研究への参加と途中辞退の自由、個人情報の保護について研究者が文書と口頭で説明し、署名により同意を得た。
【結果】対象者は、40~70歳台までの9名(男性6名、女性3名)。分析の結果、ICUにおいて人工呼吸器が装着されていた患者の、ICU入室中の体験として、9つのカテゴリーとそれを構成する28のサブカテゴリーが抽出された。明らかになった9つのカテゴリーは、【自分の置かれた状況や病状を把握したいと望む】【喋れないことで生じる苦痛や不安】【曖昧な記憶や幻覚の体験による不快感】【絶えず聞こえる周囲の雑音に対する諦め】【睡眠に対する気持ちを切り替えることで夜間不眠の苦痛が緩和する】【心身の不快を改善するための対処を看護師に求める】【回復のため自分にできる努力はするが専門的なことは医療者に任せたい】【家族の面会に安心感を覚えるが余計な心配はさせないよう振舞う】【顔の見える場所に医療者がいて自分のことを考え見守ってくれていることに安心する】であった。
【考察】患者は、ICU入室中に様々な体験していることが明らかになった。患者は慣れない状況に戸惑いながらも、まずは自力で問題に立ち向かおうと試行錯誤していた。そして、自力での対処が困難な場合は看護師に支援を求めるが、それでも状況が改善しない場合、患者は諦めることで状況に適応しようとしていた。看護師は、患者が置かれているこのような状況にもっと注目すべきである。患者が諦めざるを得ない状況を少しでも減らすために、看護師はより一層患者理解に努める必要がある。さらに、患者が自ら状況に対処できるような方法を検討するなど、患者の自立性を助けるような看護援助の必要性が示唆された。
【方法】
1. 研究デザイン:質的記述的デザイン
2. 研究対象者:A大学病院ICUにおいて、術後12時間以上人工呼吸器を装着していた75歳未満の上部消化管外科・心臓血管外科の成人患者のうち、すでにICUを退室し歩行できる程度まで回復しており、インタビューの回答に支障がなく、研究への参加に同意が得られた者。
3. データ収集期間:平成29年1月~平成29年6月
4. データ収集方法:インタビューガイドを用いた自由回答法による半構造化面接
5. データ分析方法:面接内容の逐語録をデータとし、データが示す本質的意味を見出すために、Krippendorffの内容分析の手法を用いて分析を行った。
6. 倫理的配慮:本研究はA大学臨床研究倫理委員会の承認を得て実施した(16-209)。対象候補者には本研究の目的及び方法、研究への参加と途中辞退の自由、個人情報の保護について研究者が文書と口頭で説明し、署名により同意を得た。
【結果】対象者は、40~70歳台までの9名(男性6名、女性3名)。分析の結果、ICUにおいて人工呼吸器が装着されていた患者の、ICU入室中の体験として、9つのカテゴリーとそれを構成する28のサブカテゴリーが抽出された。明らかになった9つのカテゴリーは、【自分の置かれた状況や病状を把握したいと望む】【喋れないことで生じる苦痛や不安】【曖昧な記憶や幻覚の体験による不快感】【絶えず聞こえる周囲の雑音に対する諦め】【睡眠に対する気持ちを切り替えることで夜間不眠の苦痛が緩和する】【心身の不快を改善するための対処を看護師に求める】【回復のため自分にできる努力はするが専門的なことは医療者に任せたい】【家族の面会に安心感を覚えるが余計な心配はさせないよう振舞う】【顔の見える場所に医療者がいて自分のことを考え見守ってくれていることに安心する】であった。
【考察】患者は、ICU入室中に様々な体験していることが明らかになった。患者は慣れない状況に戸惑いながらも、まずは自力で問題に立ち向かおうと試行錯誤していた。そして、自力での対処が困難な場合は看護師に支援を求めるが、それでも状況が改善しない場合、患者は諦めることで状況に適応しようとしていた。看護師は、患者が置かれているこのような状況にもっと注目すべきである。患者が諦めざるを得ない状況を少しでも減らすために、看護師はより一層患者理解に努める必要がある。さらに、患者が自ら状況に対処できるような方法を検討するなど、患者の自立性を助けるような看護援助の必要性が示唆された。