[O8-1] 特定行為研修を修了した看護師が介入したRRS活動の一事例
はじめに
2015年特定行為に係る看護師の研修制度が開始された。特定行為研修では、その医行為だけではなく、身体診察、病態アセスメント、臨床推論を学ぶことができる。そのため、特定行為研修を修了した看護師(以下特定看護師と省略する)は、患者の状態変化時に、身体診察、判断、処置をすることができ、患者の重症化予防、急変回避につながるのではないかと考えた。そこで今回A病院RRSで特定看護師が介入した一事例を客観的に振り返り、今後RRS活動に特定看護師が介入することの効果、問題点を見出すこととした。
【目的】
A病院におけるRRS活動における特定看護師の活動の効果と問題点を見出す
【方法】
本研究は所属する倫理委員会の承認を得た
特定看護師が介入したRRS活動の一事例を時系列に並べ、その時の患者の状態、特定看護師の行動を共同研究者と分析した
【結果】
1)事例紹介
肺結核、右肺胸郭形成術後の既往があるADL自立した80代女性。大動脈弁狭窄症に対し、大動脈弁置換術施行後、人工呼吸器離脱困難で気管切開術施行。術後1ヶ月を経過し、人工呼吸器を離脱し、リハビリ入院中であった。
日勤看護師が患者を訪問したところ、意識障害を認め、RRS要請あり
2)バイタルサイン
体温38.4度、心拍数80回/分、血圧90/60mmHg、呼吸数35回/分
3)身体所見
眼球結膜蒼白なし、口腔内乾燥あり、舌根沈下あり、呼吸音rhonchiあり、左呼吸音減弱あり、心雑音はなく、腹壁軟、四肢末消は温かくチアノーゼなし。意識はGCS E2VTM2、MMT 2/2/2/2、瞳孔径3.0mm、対光反射あり
4)介入内容
主治医と共に検査、鑑別診断を進めた。
鑑別診断として、脳卒中、ショック、感染症、低血糖、電解質異常、低酸素血症を優先的に考えた。
採血、動脈血血液ガス検査を実施し、胸部X線検査を実施。発熱に対して、血液、痰、尿の培養検査を実施。抗菌薬の選択を医師と行い、広域にカバーできる抗菌薬投与を開始した。また輸液投与を行い、収縮期血圧が80台まで低下したため、急速輸液とカテコラミン製剤の持続投与を開始した。
5)介入した特定行為
直接動脈穿刺法による採血、橈骨動脈ラインの挿入、抗菌薬投与、輸液負荷、カテコラミン投与量調整
6)介入後の経過
輸液、カテコラミン製剤投与を開始し、ICU入室。意識の回復を認め、翌日カテコラミン離脱し、尿培養の結果Proteus mirabillsが検出され、抗菌薬をde escalation実施し、ICU退室した
7)スタッフへのフィードバック
状態変化時の患者の状態、看護師が感じたことを特定看護師と振り返り、よりよく対応するためにできることを見出した。
【考察】
特定看護師の介入により、RRS要請時に必要な複数の医行為を医師と分担して実施することができる。それにより、鑑別診断や、敗血症性ショックに対する介入は短時間で実施することができた。
本事例においては、ショックからすぐに離脱でき、ICU入室期間が短期間であった。今後も特定看護師によるRRS活動を重ねていき、その評価していくことが必要である。また症例の振り返りも特定看護師と行うことで、医学的視点と看護の視点で実施することができる。しかしA病院には特定看護師は現在1名であり、24時間毎日介入することは困難である。今後特定看護師の養成やRRSスタッフの教育を行い、質の維持が課題である。
【結論】
1.RRS活動に特定看護師が介入することで、患者の状態変化への対応をスムーズすることが示唆された
2.RRS活動に特定看護師が介入することで、RRS対応患者の予後に影響する可能性がある
3.RRS介入事例を特定看護師と行うことで医学的視点、看護の視点で振り返ることができる
4.活動の質を維持するためには、複数の特定看護師の養成が必要である
2015年特定行為に係る看護師の研修制度が開始された。特定行為研修では、その医行為だけではなく、身体診察、病態アセスメント、臨床推論を学ぶことができる。そのため、特定行為研修を修了した看護師(以下特定看護師と省略する)は、患者の状態変化時に、身体診察、判断、処置をすることができ、患者の重症化予防、急変回避につながるのではないかと考えた。そこで今回A病院RRSで特定看護師が介入した一事例を客観的に振り返り、今後RRS活動に特定看護師が介入することの効果、問題点を見出すこととした。
【目的】
A病院におけるRRS活動における特定看護師の活動の効果と問題点を見出す
【方法】
本研究は所属する倫理委員会の承認を得た
特定看護師が介入したRRS活動の一事例を時系列に並べ、その時の患者の状態、特定看護師の行動を共同研究者と分析した
【結果】
1)事例紹介
肺結核、右肺胸郭形成術後の既往があるADL自立した80代女性。大動脈弁狭窄症に対し、大動脈弁置換術施行後、人工呼吸器離脱困難で気管切開術施行。術後1ヶ月を経過し、人工呼吸器を離脱し、リハビリ入院中であった。
日勤看護師が患者を訪問したところ、意識障害を認め、RRS要請あり
2)バイタルサイン
体温38.4度、心拍数80回/分、血圧90/60mmHg、呼吸数35回/分
3)身体所見
眼球結膜蒼白なし、口腔内乾燥あり、舌根沈下あり、呼吸音rhonchiあり、左呼吸音減弱あり、心雑音はなく、腹壁軟、四肢末消は温かくチアノーゼなし。意識はGCS E2VTM2、MMT 2/2/2/2、瞳孔径3.0mm、対光反射あり
4)介入内容
主治医と共に検査、鑑別診断を進めた。
鑑別診断として、脳卒中、ショック、感染症、低血糖、電解質異常、低酸素血症を優先的に考えた。
採血、動脈血血液ガス検査を実施し、胸部X線検査を実施。発熱に対して、血液、痰、尿の培養検査を実施。抗菌薬の選択を医師と行い、広域にカバーできる抗菌薬投与を開始した。また輸液投与を行い、収縮期血圧が80台まで低下したため、急速輸液とカテコラミン製剤の持続投与を開始した。
5)介入した特定行為
直接動脈穿刺法による採血、橈骨動脈ラインの挿入、抗菌薬投与、輸液負荷、カテコラミン投与量調整
6)介入後の経過
輸液、カテコラミン製剤投与を開始し、ICU入室。意識の回復を認め、翌日カテコラミン離脱し、尿培養の結果Proteus mirabillsが検出され、抗菌薬をde escalation実施し、ICU退室した
7)スタッフへのフィードバック
状態変化時の患者の状態、看護師が感じたことを特定看護師と振り返り、よりよく対応するためにできることを見出した。
【考察】
特定看護師の介入により、RRS要請時に必要な複数の医行為を医師と分担して実施することができる。それにより、鑑別診断や、敗血症性ショックに対する介入は短時間で実施することができた。
本事例においては、ショックからすぐに離脱でき、ICU入室期間が短期間であった。今後も特定看護師によるRRS活動を重ねていき、その評価していくことが必要である。また症例の振り返りも特定看護師と行うことで、医学的視点と看護の視点で実施することができる。しかしA病院には特定看護師は現在1名であり、24時間毎日介入することは困難である。今後特定看護師の養成やRRSスタッフの教育を行い、質の維持が課題である。
【結論】
1.RRS活動に特定看護師が介入することで、患者の状態変化への対応をスムーズすることが示唆された
2.RRS活動に特定看護師が介入することで、RRS対応患者の予後に影響する可能性がある
3.RRS介入事例を特定看護師と行うことで医学的視点、看護の視点で振り返ることができる
4.活動の質を維持するためには、複数の特定看護師の養成が必要である