第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

一般演題(口演) O9群
せん妄ケア

2018年7月1日(日) 13:40 〜 14:40 第4会場 (2階 福寿)

座長:木下 佳子(NTT東日本関東病院 集中治療部), 座長:始関 千加子(日本医科大学千葉北総病院)

[O9-3] 救命救急センターにおけるせん妄評価ツールCAM-ICU・ICDSC導入後の看護師の認識

羽中田 夏美1, 遠藤 みどり2 (1.地方独立行政法人山梨県立病院機構山梨県立中央病院, 2.公立大学法人 山梨県立大学)

【はじめに】救命救急センタ-にせん妄評価ツ-ルのCAM-ICUとICDSCを導入したが、せん妄評価ツールの活用やせん妄ケアが十分に行えていない現状が明らかになった。そこで、CAM-ICU・ICDSC導入後1年経過した中で、看護師がせん妄予防・せん妄ケアをどのように捉え、どのようにせん妄評価のための評価ツールを活用し、課題をもっているかの認識を明らかにしたいと考えた。【目的】 救命救急センターにおける看護師のせん妄ケアと評価ツ-ル活用に対する認識を明らかにし、せん妄評価ツール活用の定着に向けた基礎資料を得る。【方法】1)対象者:救命救急センタ-に所属する看護師2)研究デザイン:量的記述研究デザイン。3)調査内容・方法:せん妄の要因・せん妄ケア・せん妄評価ツ-ル活用等に対する認識を問う設問項目無記名用紙を1人1部ずつへ配布。2週間の留め置き。4)分析方法:記述統計量の算出と記述内容の集約。5)倫理的配慮:自由意思の尊重、拒否権利の保証、匿名性の保持を遵守し、文書と口頭で研究協力への同意を得た。所属施設の看護局研究倫理審査会の承認を得て実施した。【結果】配布数31部、調査回収数(回収率)は29名(93.5%)、有効回答数(有効回答率)は19名(61.29%)であった。せん妄要因は「禁食」が平均2.57で、その他は平均3.0以上であった。せん妄ケアの内容は「過活動時、低活動時の医師と薬剤調整」「生活リズムの記録」等が平均よりも低い結果であった。せん妄評価の活用は95%、頻度は「毎日行っている」、「せん妄発症の兆候があった時」が50%であった。せん妄評価ツール活用の利点は「早期発見」「ケアへの早期介入」等が50%以上であったのに対し、「せん妄タイプの見極め」「多職種との連携」は10-20%程度であった。せん妄評価ツールの種類はCAM-ICUが全体の11%、ICDSCは89%であった。CAM-ICUで評価困難な項目は「無秩序な思考」が一番に多く、ICDSCの項目は「精神運動的な興奮・遅滞」であった。せん妄評価ツ-ル活用の困難さでは、「ケアに活かすこと」「他職種と共有しにくい」の2項目が約40%であった。【考察】看護師はICDSCのせん妄評価ツ-ルを多く活用していることが明らかになったが、活用利点の認識は高くなく、生活状況の記載等が低い結果であった。看護実践への活用や他職種との連携の困難感も有していたことから、今後は、事例を用いたせん妄評価ツールの活用とせん妄評価の検討や他職種とのせん妄予防等の検討機会を設定する必要性が示唆された。【結論】せん妄評価ツールの活用により、看護師はせん妄評価の必要性を理解がしていることが明らかになった。一方、せん妄評価ツールの定着には、事例を用いた実践的な学習機会や他職種との検討機会の設定が必要であることが示唆された。