[P3-3] ICUに配属になった中堅看護師のキャリア形成に関する能力-教育の現況と課題、必要な教育システム-
【目的】
クリティカルな状況において医師・看護師が協働し高度医療水準を維持するためには、絶対数の多いジェネラリストのキャリア形成が重要である。臨床看護の経験者であるICUに配属となった中堅看護師(新任中堅看護師)に焦点を当て、望ましいキャリア形成に関する能力を検討した。必要な看護実践の内容と知識について第11回クリティカルケア看護学会で報告した。今回、教育の現況や必要な教育システムについて報告する。
【方法】
対象は承諾を得た46病院のICU に勤務する看護管理者(以下管理者)および勤務交替を経験(1~2年以内)した中堅看護師229名である。「新任中堅看護師への教育の現況と課題」と「クリティカルケア看護実践能力維持のために必要な教育システム」についての自由記述を求めた。意味内容の類似性をもとに分析した。倫理面への配慮:無記名の返送をもって同意とし、研究者施設の研究倫理審査委員会で倫理審査を受け承認を得た。
【結果】
<新任中堅看護師への教育の現況と課題>
看護師:教育の現況は「プリセプターによる指導」「認定看護師の担当」などの【指導者の選定】、「マニュアルに基づく指導」「教育ツールの作成」などの【基準の明確化】、「科別の経験(段階を踏む)」「ラダーに沿った経験」「未経験項目の明確化」「検討会」などの【経験によるステップアップ】「自己学習に任せる」などの【自己学習による向上】、「指導者のスキルにばらつきあり」「交替勤務による指導者の不在」などの【指導継続の困難さ】であった。教育の課題は【指導者の不足】【経験者独自のマニュアルの作成の必要性】【指導者のスキルアップ】であった。
看護管理者:教育の現況は【指導者の選定】、【基準の明確化】、【経験によるステップアップ】、【自己学習による向上】、「以前の経験が多様である」などの【経験の把握の困難】であった。教育の課題は【指導者の不足】【経験者独自のマニュアルの作成】【指導者のスキルアップ】「緊張感の強い現場への戸惑いへのサポート」【看護実践上の精神面への配慮不足】であった。
<クリティカルケア看護実践能力維持のために必要な教育システム>
看護師:「定期的な勉強会」「各時期に沿った研修会」などの【研修機会の充実】、「スタンダードエディケーションプラン」などの【計画的な教育方法の確立】、「認定看護師の活用」「スタッフ全員での取り組み」などの【多様な教育方法の工夫】「スキルアップへの支援」などの【実践能力向上への組織的支援】であった。
看護管理者:「指導者の教育システム」などの【新任中堅看護師教育システムの確立】、「専門的スキルを身につける支援」「シミュレーション教育の充実」などの【教育教材活用の発展】であった。
【考察】
教育の現況は、看護師、管理者共に【指導者の選定】、【基準の明確化】、【経験によるステップアップ】、【自己学習による向上】であった。対象看護師の背景を考慮した教育を行っていることがわかった。しかし、看護管理者の【経験の把握の困難】では、看護師の経験が多様であるために、身についている能力の見極めが困難であることがわかった。課題として【経験者独自のマニュアルの作成】が挙げられたことは、個別の対応をシステマティックに行うことを必要としていると考える。
クリティカルケア看護には、救命に関する能力が求められ、ジェネラリストとしては身についているべき知識である。そのため教育システムとしては、経験の背景を考慮した取り組みをのぞむ内容であり、多様なシステムでクリティカルケア看護実践能力を維持していかなければならないことが示唆された。
クリティカルな状況において医師・看護師が協働し高度医療水準を維持するためには、絶対数の多いジェネラリストのキャリア形成が重要である。臨床看護の経験者であるICUに配属となった中堅看護師(新任中堅看護師)に焦点を当て、望ましいキャリア形成に関する能力を検討した。必要な看護実践の内容と知識について第11回クリティカルケア看護学会で報告した。今回、教育の現況や必要な教育システムについて報告する。
【方法】
対象は承諾を得た46病院のICU に勤務する看護管理者(以下管理者)および勤務交替を経験(1~2年以内)した中堅看護師229名である。「新任中堅看護師への教育の現況と課題」と「クリティカルケア看護実践能力維持のために必要な教育システム」についての自由記述を求めた。意味内容の類似性をもとに分析した。倫理面への配慮:無記名の返送をもって同意とし、研究者施設の研究倫理審査委員会で倫理審査を受け承認を得た。
【結果】
<新任中堅看護師への教育の現況と課題>
看護師:教育の現況は「プリセプターによる指導」「認定看護師の担当」などの【指導者の選定】、「マニュアルに基づく指導」「教育ツールの作成」などの【基準の明確化】、「科別の経験(段階を踏む)」「ラダーに沿った経験」「未経験項目の明確化」「検討会」などの【経験によるステップアップ】「自己学習に任せる」などの【自己学習による向上】、「指導者のスキルにばらつきあり」「交替勤務による指導者の不在」などの【指導継続の困難さ】であった。教育の課題は【指導者の不足】【経験者独自のマニュアルの作成の必要性】【指導者のスキルアップ】であった。
看護管理者:教育の現況は【指導者の選定】、【基準の明確化】、【経験によるステップアップ】、【自己学習による向上】、「以前の経験が多様である」などの【経験の把握の困難】であった。教育の課題は【指導者の不足】【経験者独自のマニュアルの作成】【指導者のスキルアップ】「緊張感の強い現場への戸惑いへのサポート」【看護実践上の精神面への配慮不足】であった。
<クリティカルケア看護実践能力維持のために必要な教育システム>
看護師:「定期的な勉強会」「各時期に沿った研修会」などの【研修機会の充実】、「スタンダードエディケーションプラン」などの【計画的な教育方法の確立】、「認定看護師の活用」「スタッフ全員での取り組み」などの【多様な教育方法の工夫】「スキルアップへの支援」などの【実践能力向上への組織的支援】であった。
看護管理者:「指導者の教育システム」などの【新任中堅看護師教育システムの確立】、「専門的スキルを身につける支援」「シミュレーション教育の充実」などの【教育教材活用の発展】であった。
【考察】
教育の現況は、看護師、管理者共に【指導者の選定】、【基準の明確化】、【経験によるステップアップ】、【自己学習による向上】であった。対象看護師の背景を考慮した教育を行っていることがわかった。しかし、看護管理者の【経験の把握の困難】では、看護師の経験が多様であるために、身についている能力の見極めが困難であることがわかった。課題として【経験者独自のマニュアルの作成】が挙げられたことは、個別の対応をシステマティックに行うことを必要としていると考える。
クリティカルケア看護には、救命に関する能力が求められ、ジェネラリストとしては身についているべき知識である。そのため教育システムとしては、経験の背景を考慮した取り組みをのぞむ内容であり、多様なシステムでクリティカルケア看護実践能力を維持していかなければならないことが示唆された。