[P4-1] 小児集中治療室における流量膨張式蘇生バッグの使用状況に関する実態調査
【目的】
流量膨張式蘇生バッグは、終末呼気陽圧、最大吸気圧、吸気・呼気時間の調節、肺のコンプライアンスの推測、患者の呼吸リズムに合わせた換気ができる等、重症患者に有用な用手換気用具である。しかし、その取扱いは一般に熟練を要するとされ、不適切な手技による患者への不利益も懸念される。本研究は、小児集中治療室における流量膨張式蘇生バッグの使用状況に関する実態を明らかにし、今後の課題について検討する。
【方法】
小児集中治療室を有する施設を対象に、流量膨張式蘇生バッグの使用状況や教育状況などに関する現状を質問用紙にて調査した。本研究は所属研究機関の承認を得た上で実施し、質問紙は無記名で回収、回答の有無によって対象者が不利益を被らない等の倫理的配慮をした。
【結果】
調査は、14施設に依頼し、9施設より回答を得た。7施設では、流量膨張式蘇生バッグを使用していた。流量膨張式蘇生バッグの取り扱いに関する教育方法は、集合教育によるテスト肺を用いたシミュレーション教育や講義など、施設毎に様々であった。流量膨張式蘇生バッグによる用手換気時のマノメーター使用の有無に関しては、全例で使用しているのは、2施設のみであった。さらに流量膨張式蘇生バッグでの用手換気時に経験した有害事象について、多くの施設で、肺胞虚脱や換気不足による低酸素血症や高圧換気による低血圧や徐脈を経験していた(図1)。
【考察】
多くの施設において、原則として流量膨張式バッグが選択され、有用性が認識されている。一方で、使用に関する指導方法については、標準化されている施設は1施設にすぎず、また全スタッフを教育対象としている施設は3施設でしかなく、流量膨張式蘇生バッグ取り扱いに関して十分な教育がされていない可能性がある。気道内圧を可視できるマノメーターを用いた換気は、総ての症例に用いる施設は2つ、他の施設では圧を厳密に管理しなくてはいけない先天性気管狭窄症などに使用しており、安全性の担保に努めていると考えられる。しかし、多くの施設において、流量膨張式蘇生バッグに起因する有害事象を経験しており、その取り扱いについては教育の必要性があると考える。
なお、本研究は、平成28年度日本クリティカルケア看護学会研究費助成を受けた。
流量膨張式蘇生バッグは、終末呼気陽圧、最大吸気圧、吸気・呼気時間の調節、肺のコンプライアンスの推測、患者の呼吸リズムに合わせた換気ができる等、重症患者に有用な用手換気用具である。しかし、その取扱いは一般に熟練を要するとされ、不適切な手技による患者への不利益も懸念される。本研究は、小児集中治療室における流量膨張式蘇生バッグの使用状況に関する実態を明らかにし、今後の課題について検討する。
【方法】
小児集中治療室を有する施設を対象に、流量膨張式蘇生バッグの使用状況や教育状況などに関する現状を質問用紙にて調査した。本研究は所属研究機関の承認を得た上で実施し、質問紙は無記名で回収、回答の有無によって対象者が不利益を被らない等の倫理的配慮をした。
【結果】
調査は、14施設に依頼し、9施設より回答を得た。7施設では、流量膨張式蘇生バッグを使用していた。流量膨張式蘇生バッグの取り扱いに関する教育方法は、集合教育によるテスト肺を用いたシミュレーション教育や講義など、施設毎に様々であった。流量膨張式蘇生バッグによる用手換気時のマノメーター使用の有無に関しては、全例で使用しているのは、2施設のみであった。さらに流量膨張式蘇生バッグでの用手換気時に経験した有害事象について、多くの施設で、肺胞虚脱や換気不足による低酸素血症や高圧換気による低血圧や徐脈を経験していた(図1)。
【考察】
多くの施設において、原則として流量膨張式バッグが選択され、有用性が認識されている。一方で、使用に関する指導方法については、標準化されている施設は1施設にすぎず、また全スタッフを教育対象としている施設は3施設でしかなく、流量膨張式蘇生バッグ取り扱いに関して十分な教育がされていない可能性がある。気道内圧を可視できるマノメーターを用いた換気は、総ての症例に用いる施設は2つ、他の施設では圧を厳密に管理しなくてはいけない先天性気管狭窄症などに使用しており、安全性の担保に努めていると考えられる。しかし、多くの施設において、流量膨張式蘇生バッグに起因する有害事象を経験しており、その取り扱いについては教育の必要性があると考える。
なお、本研究は、平成28年度日本クリティカルケア看護学会研究費助成を受けた。