第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

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Pro-con

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ICUにおける新人看護師の配置(推進派vs慎重派)

Sun. Jul 1, 2018 9:05 AM - 9:45 AM 第6会場 (2階 瑞雲)

座長:竹原 典子(日本医科大学付属病院)

[Pro1-1] 新人看護師の教育でICUも育つ

山田 亨 (東邦大学医療センター大森病院 救命救急センター)

■看護師不足・看護師の高齢化の問題
 高齢化率世界一の我が国において、人口構造の変化は看護職者においても同様に問題となっている。看護師不足、看護師の高齢化という問題は避けられない。看護師、特に新人看護師を病院に確保するかどうかは重大な問題である。厚生労働省の資料をみると、平成24年の看護師の就業者数は、1,067,760人であり、徐々に増加している。離職や再就職などを加味した看護職員における就業者数の前年に対する増加に関しては、看護職員全体で3万人程度の増加を示している。しかしこれは、あくまで看護職員全体での人数であるということである。
■ICUへの配属希望者
 では、その中でICUへの配属希望を見てみるとどうなのだろうか。平成26年度のナースセンター登録データに基づく報告では、全求職者のうち24歳以下の1940名の配属希望者の割合は、病棟看護(67.8%)、外来看護(40.7%)であり、ICU(2.6%)、CCU(2.7%)、NICU(3.0%)、救命救急(5.5%)である。ICU配属を希望する1698名を年齢別でみると24歳以下では5.5%であるが、徐々にその割合は低下し、25-29歳で5.3%、30-34歳で5.1%、35-39歳で3.4%、40-49歳で1.7%、50-59歳で0.4%、60歳以上では0.3%となっている。つまり、新人を含め若手看護師が配属を希望する場所としては、希望されやすいのかもしれないが、配置移動や再就職の希望としては、ライフスタイルの問題や勤務環境の問題などから、希望する看護師は少なくなっていくようだ。病棟で経験を積んで、その後ICUで働いてもらうことは、現実的ではないのかもしれない。
■ICUへの新人看護師をどのように定着させるための教育をするかが問題
 新人看護師は、基礎看護教育の中でICU看護に関する教育を受ける機会が少ない。そのような中で、重症患者の症状や疾病に関する理解を進めながら、現在の状況を患者の訴えや多くのデータから統合し、ケアにつなげていく必要がある。また、生命の危機的状況にある患者の心理的側面や、その家族をいかに支援していくか、倫理的な側面に関しても介入することを要する。他にも新人看護師が身につけなくてはならない能力が多く存在する。また、新人特有のリアリティショックにも遭遇する。これらは、新人看護師にとって大きな負担になる。
 新人看護師と同様に、それを支援する先輩看護師にも負担はある。しかし、新人看護師がICUで育っていけるように支援し、教育をすることで、先輩看護師にとっても再学習の機会や、新たな視点の発見につながり、成長につながると思っている。新人看護師、先輩看護師が負担を少なく、互いに成長していける環境を作ることが課題になるのではないだろうか。