[Pro4-1] 口腔ケア;洗浄派の立場から
クリティカルケアにおいて二次的合併症の予防は看護にとって重要な使命である。ひとたび合併症を併発すれば、生命の存続に直結し、患者の生命力を著しく低下させてしまうことは言うまでもない。気管挿管患者の口腔ケアにおいては常に人工呼吸器関連肺炎;VAPのことを意識しなければならない。それは、(1)口腔ケアによるVAPの予防の視点と(2)私たちが行う口腔ケアがVAPの原因になりうるリスクである。更に(3)本来の口腔ケアの目的を再認し、適切なケアを検討しなければならない。口腔ケアの目的は、口腔内の細菌の繁殖を減少させ、全身性・局所性の感染防止を図ること、口臭や口腔内乾燥を軽減し、気分を爽快にすること、歯肉の血行循環を促進し、歯周病を予防することなどが一般的である。目指すは健康な我々の口腔内と同じ状態であり、口腔内や口唇のトラブルを防止し、食べられる、話ができる口腔機能を最大限維持することを目的とする。
気管挿管患者においては、免疫能の低下や低栄養、意識障害、咳嗽力の低下など全身性の要因に加えて、気管チューブの存在で閉口困難となり、口腔内の乾燥や唾液分泌の低下によって自浄作用が低下し、種々の抗菌剤の投与で常在細菌叢の乱れなどがあり、バイオフィルムが形成されやすい状況にある。VAPの観点では、気管挿管を介する経気道的な病原体の侵入が最も深刻である。VAPを予防するための口腔ケアは、現状では抗菌薬入りの口腔ケア用品の使用による病原細菌の化学的除去法か、ブラッシングによる物理的除去法の2つが主流である。しかし、我が国においては両者ともにVAP予防に効果があると断定するには十分なエビデンスが示されていない。私は洗浄派の立場で口腔ケアを概観するが、一昔前まで当たり前に行われていた多量の水を使用した口腔内洗浄を推挙するわけではない。ここで重要視したいことはブラッシングであり、ブラッシングにより除去された汚染物をどのように回収するかという点である。誤嚥のリスクを低減するためには水を使わない口腔ケアは理想的である。しかし、挿管患者の口腔内の状態は様々であり、予定手術のように口腔環境が事前にコントロールされた状態にある者ばかりではない。そこで、洗浄法というスキルも持ち合わせているということを強みとして捉え、気を付けなければならないことを考えていきたい。
気管挿管患者においては、免疫能の低下や低栄養、意識障害、咳嗽力の低下など全身性の要因に加えて、気管チューブの存在で閉口困難となり、口腔内の乾燥や唾液分泌の低下によって自浄作用が低下し、種々の抗菌剤の投与で常在細菌叢の乱れなどがあり、バイオフィルムが形成されやすい状況にある。VAPの観点では、気管挿管を介する経気道的な病原体の侵入が最も深刻である。VAPを予防するための口腔ケアは、現状では抗菌薬入りの口腔ケア用品の使用による病原細菌の化学的除去法か、ブラッシングによる物理的除去法の2つが主流である。しかし、我が国においては両者ともにVAP予防に効果があると断定するには十分なエビデンスが示されていない。私は洗浄派の立場で口腔ケアを概観するが、一昔前まで当たり前に行われていた多量の水を使用した口腔内洗浄を推挙するわけではない。ここで重要視したいことはブラッシングであり、ブラッシングにより除去された汚染物をどのように回収するかという点である。誤嚥のリスクを低減するためには水を使わない口腔ケアは理想的である。しかし、挿管患者の口腔内の状態は様々であり、予定手術のように口腔環境が事前にコントロールされた状態にある者ばかりではない。そこで、洗浄法というスキルも持ち合わせているということを強みとして捉え、気を付けなければならないことを考えていきたい。