[S3-1] 我が国のオンラインレジストリから見えるRRSの現状と展望
【目的】院内救急対策の大きな柱であるRapid Response System(RRS)は我が国でも広がっている。2014年に他施設RRS・院内心停止オンラインレジストリが立ち上がりRRSは6700例、院内心停止は320例を超える症例が蓄積している。レジストリ運営は日本集中治療医学会・日本臨床救急医学会を中心とした院内救急検討委員会により行われ活動を発展させている。さらなる院内救急の改善のために、RRSのアウトカムとして院内心停止が測定可能となるようにRRSと院内心停止のレジストリを一つに統合し、また米国心臓病学会に準拠し世界への発信に足るように改訂を加え、レジストリは新たな一歩を踏み出した。今回はRRSレジストリから見た我が国の院内救急の現状と、レジストリを用いて行われた過去の研究について再度考察する。
【方法】2014年1月から2017年8月までにRRSオンラインレジストリに登録された6787例を解析した。
【結果】患者背景は平均年齢69.5歳, 男性が59%と多く、背景としては敗血症11.6%, 担癌患者20.7% 術後患者11.4%, 産婦人科患者1.6%, 小児患者2.5%であった。またコードステータスに制限のある患者が21.0%であった。起動時のバイタルサインでは体温,呼吸数の欠損が多く、36.1%、27.8%であった。起動基準では酸素飽和度の低下が最も多く、33%, ついで意識障害26%, 看護師の懸念25%, 低血圧22%と続いた。行われた処置は挿管14%, CPR 6.6%であった。ICU入室は24%で、RRS時に死亡した症例を3.3%認めた。 一ヶ月死亡率は28%であった。頻脈、低血圧、頻呼吸、徐呼吸を認めても起動されない症例が多くあり、特に頻呼吸ではそれが著明であった。National Early Warning Score(NEWS)の超低リスク群(NEWS grade0),低リスク群(NEWS grade 1), 中等度リスク群(NEWS grade 2), 高リスク群(NEWS grade 3)では予期せぬICU入室/1ヶ月死亡率はリスク層別化が可能であった。
【結論】我が国の現状としてRRSが起動される症例は重症が多い。複数の起動基準をすでに満たしている症例が多く早期介入は十分でない可能性が示された。これらの問題の解決の一つとしてNEWSを用いたスコアリングによる起動基準の制定の有用性が示唆された。現場教育だけでなく、バイタルサインをもれなく測定するためのシステムや機器などの開発が待たれる。
【結語】我が国の院内救急の現状が明らかとなった。今後はこのデータをもとに各施設の実情にそった対策が必要である。
【方法】2014年1月から2017年8月までにRRSオンラインレジストリに登録された6787例を解析した。
【結果】患者背景は平均年齢69.5歳, 男性が59%と多く、背景としては敗血症11.6%, 担癌患者20.7% 術後患者11.4%, 産婦人科患者1.6%, 小児患者2.5%であった。またコードステータスに制限のある患者が21.0%であった。起動時のバイタルサインでは体温,呼吸数の欠損が多く、36.1%、27.8%であった。起動基準では酸素飽和度の低下が最も多く、33%, ついで意識障害26%, 看護師の懸念25%, 低血圧22%と続いた。行われた処置は挿管14%, CPR 6.6%であった。ICU入室は24%で、RRS時に死亡した症例を3.3%認めた。 一ヶ月死亡率は28%であった。頻脈、低血圧、頻呼吸、徐呼吸を認めても起動されない症例が多くあり、特に頻呼吸ではそれが著明であった。National Early Warning Score(NEWS)の超低リスク群(NEWS grade0),低リスク群(NEWS grade 1), 中等度リスク群(NEWS grade 2), 高リスク群(NEWS grade 3)では予期せぬICU入室/1ヶ月死亡率はリスク層別化が可能であった。
【結論】我が国の現状としてRRSが起動される症例は重症が多い。複数の起動基準をすでに満たしている症例が多く早期介入は十分でない可能性が示された。これらの問題の解決の一つとしてNEWSを用いたスコアリングによる起動基準の制定の有用性が示唆された。現場教育だけでなく、バイタルサインをもれなく測定するためのシステムや機器などの開発が待たれる。
【結語】我が国の院内救急の現状が明らかとなった。今後はこのデータをもとに各施設の実情にそった対策が必要である。