第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム3
院内急変を未然に防ぐRapid Response System

2018年6月30日(土) 15:40 〜 17:40 第3会場 (2階 桃源)

座長:田村 富美子(聖路加国際病院 救命救急センター), 座長:森安 恵実(北里大学病院集中治療センター RST・RRT室)

[S3-2] 病院の現状を考えた院内急変を未然に防ぐRapid Response Systemに向けての取り組み

芝田 里花 (日本赤十字社和歌山医療センター 看護管理室)

自施設は和歌山市にある診療科35科、稼働病床数727床、高度救命救急センターを持つ地域の中核病院である。 自施設の急変対応システムは2010年に心肺停止に対応するコードブルーとして始まった。当初はがんや慢性疾患の終末期患者の治療方針が明確されていない事例やバイタルサインの異常やせん妄など急変の前兆がカルテに記載されている事例が散見していたことから、体制を2014年に「心肺停止やそれに準じた状況」への対応に変更した。始動基準は明確には示していないが、コードブルーと急変の前段階に対応にするシステムとの周知を得ている。
【体制】
平日日勤においては集中治療部医師、救急外来看護師が対応を行う状況になっているが、集中治療医、救急医のマンパワーの問題もあり、夜間は当直医師、看護師長が対応を行っている。
【現状の問題点】
急変を未然に防ぐための自施設の問題として(1)看護師のアセスメント能力不足、(2)医師の認識不足、(3)医師の診療科間のセクショナリズムがある。看護師のアセスメント能力不足については、患者の状態が気になっていても「医師の指示範囲内」と判断していることが散見している。そのため、看護師が患者の状態悪化に一刻でも早く気づく力をつけるため、集中ケア認定看護師を中心にフィジカルアセスメント能力の強化、救急看護認定看護師が急変対応として「急変リンクナース」の育成を行っている。 (2)医師の認識不足については、病棟看護師が病態の悪化を認識し、医師に報告をした際に「様子を見ておいて」、「あとで行く」の返答があり、看護師はジレンマを感じつつも経過観察し、さらに患者が重篤化してしまう。また、救急看護認定看護師や集中ケア認定看護師が病棟からコンサルテーションを受けた場合においても診療科間のセクショナリズムが強いこともあり科を超えた依頼は非常に困難な状況がある。
【Rapid Response System 構築に向けた取り組み】
組織を動かすために急変対応コールや状態悪化により集中治療室に入室した患者の状況を分析し、対応の問題点等を院内医療安全委員会で公表されているが、院内の周知には至っていない。集中治療医、救急医が少ない現状でチームを組み活動を行うことが困難であることから、看護師が患者の「状態が悪い」と判断した場合、「何か変」と感じた場合に診療科に関わらず集中治療医や救急医に相談を行うシステムの構築を医療安全部門に提案している。