第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム3
院内急変を未然に防ぐRapid Response System

2018年6月30日(土) 15:40 〜 17:40 第3会場 (2階 桃源)

座長:田村 富美子(聖路加国際病院 救命救急センター), 座長:森安 恵実(北里大学病院集中治療センター RST・RRT室)

[S3-4] 当院におけるRRS看護師の役割

黒岩 政之 (北里大学医学部 麻酔科学)

当院では2011年からRRSを部分稼働させ、2014年5月から24時間365日の稼働となっている。直近3か月の平均出動件数は54.4件/月で平日日勤帯が45.4%、平日夜間帯が22.1%、休日診療帯が32.5%である。出動症例の19.0%は緊急でICUに収容している。この出動の中で、平日夜間21時-翌日7時30分までおよび休日診療体制の16時30分-翌日7時30分はICU当直医師が単独で出動しているが、それ以外はRRS看護師(もしくはRRS理学療法士)が単独もしくは医師と同時に出動している。RRS看護師は専従が2名のほかに、トレーニングを受けた院内ICU看護師(2018年1月現在、トレーニング修了者10名、うち実働者5名)が当番制で担当している。
RRS看護師の役割は大きく分けて(1)トリアージ(2)コーディネーター(3)教育の3つがある。
(1)トリアージ:RRS看護師は、単独で出動した際にABCDのうち何の異常か(あるいは異常がないのか)、緊急の処置や検査の必要性、ICU収容の必要性などについて評価し、自身のアセスメントとリコメンデーションをもってRRS医師や担当診療科医師に報告する。これは経験のある救急・集中治療系看護師なら持ち合わせているテクニカル・スキルであるが、一方で普段の活動しているフィールド外でそのスキルを発揮するには一定の訓練と経験が必要である。
(2)コーディネーター:要請側のスタッフ(病棟看護師、担当診療科医師)と出動側のスタッフ(RRS医師、看護師、理学療法士など)が現場で、即席で組むチームは、コミュニケーションが円滑にいかない場合も想定される。重症患者を目前にすると気が回らなくなり、要請側を差し置いて出動側だけで診療していく、など。RRS看護師は出動側が何を疑って診療しているか、何を懸念しているかを理解し、それらを適宜、要請側に伝達しながら処置の準備や移動の準備などを進めていく。
(3)教育:要請側にはポジティブであれネガティブであれ、適切なフィードバックが必要である。このことが要請者を教育し、“気づきの力”が養われ、次なるRRS要請につながる。RRS看護師は出動後に必要があれば別途、要請者を訪問し、フィードバックをする。また、患者ケアで状況が解決できるような事例では、ケアを教育し、現場での危機回避力を高める。
当日は、上記について当院での実例を紹介しながら解説したい。