第14回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

ワークショップ

ワークショップ2
重症患者のイニシャルケアからエンドオブライフへの視座

2018年7月1日(日) 10:15 〜 12:15 第3会場 (2階 桃源)

座長:田村 葉子(京都看護大学), 座長:田山 聡子(慶應義塾大学病院)

[W2-2] EICUにおけるエンドオブライフケアの実践と課題

渕本 雅昭 (東邦大学医療センター大森病院 救命救急センター)

限られた時間と情報の中で治療方針の決定を余儀なくされる救急医療の現場においても、患者家族の意向に沿った医療を行うことには変わりはない。特に初療の現場では突然で予期せぬ病気や事故にみまわれ、心身ともに正常な判断ができない状態で患者本人の意思決定や、患者家族の代理意思決定が行われていることは周知の事実である。突然の発症や突然の死を向かえたり、患者の家族は時間的な制約および十分な予期悲嘆がないまま、かつ代理意思決定を行いながら救命初療で経過されるであろう。そのような状況の中、患者本人の希望や意志に沿った治療や最後を迎えるには、当然患者本人の事前意思や代理意思決定者としての家族や近親者の存在が重要になる。初療において家族は精神的機器に直面し衝撃や悲嘆の中で、「積極的治療を行うかどうか」、「現状の治療を維持するのか、あるいは終了するのか」、「延命措置を差し控えるかどうか」など次々と意思決定を迫られる。家族や近親者による代理意思決定は、初療で家族の代理意思のもと救命処置が施され、何らかの形で救命ICUに入室し状況や気持ちが少し落ち着いたところで、気持ちの変化や一度決定したことが果たして良かったのかと不安になることが往々にして見られる。クリティカルケア領域の看護師は、家族の意思決定支援を重要度の高いケアであると認識しているが、看護師も様々な葛藤や困難を抱えていると言われている。看護師は最善の医療と看護が提供されるような倫理的意思決定ができない時、割り切れない気持ちを残したり、自分の行った判断が正しいかどうかについての自問をしていることも指摘されている。「救急医療における看護倫理」ガイドライン、「集中治療領域における終末期患者家族のこころのケア指針」において、代理意思決定の支援、患者の尊厳・権利擁護などについて方向性は示されているものの、クリティカルケア領域におけるエンドオブライフケアに対する意思決定プロセスは、看護師にとって難しい介入であることには間違いない。
 本発表では初療において積極的な延命治療を望まれたが、EICU入室後に延命治療から緩和治療への気持ちが揺らいだ家族のケースを紹介しながら、EICUに入室された患者家族の代理意思決定をどのように支援していくか考えていきたい。そして、患者家族の意思決定を支えることとエンドオブライフがどのような繋がりを持つのか検討して行きたい。