第15回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

交流集会

[AC3] 知って得する人工呼吸器離脱プロトコル

2019年6月15日(土) 15:00 〜 16:30 第4会場 (1F 中会議室)

企画:人工呼吸器ケア委員会

16:00 〜 16:15

[AC3-3] 人工呼吸器離脱プロトコル導入による看護師の実践

○山本 小奈実1、山勢博彰1、田戸朝美1、佐伯京子1、立野淳子2 (1. 山口大学大学院医学系研究科、2. 小倉記念病院)

キーワード:人工呼吸器離脱プロトコル、看護実践、ウイニング

 人工呼吸器離脱プロトコル(以下プロトコル)の導入は、人工呼吸器装着期間の短縮や抜管成功率の増加、VAP発生率の低下、医療コストの低減に有効性が示され、諸外国において、スタンダードな人工呼吸離脱プランとして確立している。プロトコルを主に使用している医療者は、医師以外の看護師や呼吸療法士であり、多職種がチームとしてプロトコルを活用することで早期のウイニングを可能にしている。 
 国内では、2014年人工呼吸器に関連する国内の主要3学会(日本集中治療医学会、日本クリティカルケア看護学会、日本呼吸療法医学会)が合同で、わが国独自のプロトコルを発表した。このプロトコルが導入され、医師の包括的な指示のもと看護師やその他の医療者からなる医療チームがウイニングに取り組むことにより、早期に人工呼吸器離脱が可能になることが期待されている。
 そこで我々は、これまでに2つの研究を行い、人工呼吸器離脱プロトコルを用いて看護師が主体的にウイニ ングを実施した効果と患者ケアの変化を検討した。
 まず一つ目の研究では、ICUに勤務する集中治療室経験3年以上の看護師66名を対象に実施した。方法は、プロトコル導入前後における呼吸ケアの観察視点、呼吸ケア技術、チーム医療の3カテゴリーからなる実践度と重要度の質問紙調査を行った。その結果、看護師の呼吸ケア技術では、導入群の方が、実践度と重要度ともに有意に高く、チーム医療では、導入群の重要度が有意に高かった。
 2つ目の研究では、2次救急医療の3施設で人工呼吸器離脱プロトコル導入前後の患者背景(年齢、疾患、入院状況)、ICU在室日数、気管挿管日数、人工呼吸器装着日数について調査した。その結果、生存曲線分析では、ICU滞在日数、人工呼吸器装着期間、気管挿管日数ともに、導入後の方が有意に低かった。
 以上のことから、看護師がプロトコルを用いることは、看護師のウイニングに関する認識を強化し、技術を向上させ、その結果、患者に効果的なウイニングが提供できることが明らかとなった。プロトコルを用いることで、人工呼吸療法の長期化を防ぐことが期待できるといえる。
 本セッションでは、以上のようなプロトコルの活用の実態から効果や課題などを報告し、皆様と一緒 に人工呼吸器離脱に関して議論したいと考える。