第15回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

交流集会

[AC5] 気管挿管患者の口腔ケアの充実に向けた検討

2019年6月16日(日) 09:00 〜 10:20 第4会場 (1F 中会議室)

企画:口腔ケア委員会

09:25 〜 09:40

[AC5-2] 気管挿管患者の口腔ケア;高度なケア技術について再考する

○安藤 有子1 (1. 関西医科大学附属病院)

キーワード:口腔ケア

 気管挿管を要する重症患者にとって適切な口腔ケアについては長きに渡り議論がなされてきた。しかしながら本邦においては確固たるエビデンスが確立されておらず、その必要性を認識しているものの、最善の方法は未だ模索している現状にある。気管挿管患者における口腔ケアは常に人工呼吸器関連肺炎;VAPのことを意識しなければならない。クリティカルな状況にある患者は、免疫能の低下や低栄養、意識障害、咳嗽力の低下など全身性の要因に加えて、気管チューブの存在で閉口困難となり、口腔内の乾燥や唾液分泌の低下によって自浄作用が低下し、種々の抗菌剤の投与で常在細菌叢の乱れなどがあり、バイオフィルムが形成されやすい状況にある。気管挿管を介する経気道的な病原体の侵入によりひとたびVAPなどの二次的合併症を併発すれば、生命の存続に直結し、患者の生命力を著しく低下させてしまうことは言うまでもない。
 一方、生命・暮らし・人生を支援する看護の視座では、正常な口腔機能の維持、口渇の緩和、快適性の保持などもまた口腔ケアの重要な目的である。口腔ケアはリスクを心得て、ベネフィットを最大限にもたらすことを意識し、細心の注意を払いながらも実施すべき高度で複雑なケアであると考える。本セッションでは、口腔ケアのベストプラクティスを考え、この高度なケアをどのように継承していくかを検討したいと考える。