9:40 AM - 9:55 AM
[AC5-3] AC5
Keywords:口腔ケア
クリティカルケア領域での看護実践の中で必須として身につけておくべき「口腔ケア」、その実践ガイド策定に向けて日本クリティカルケア看護学会口腔ケア委員会では日本集中治療医学会とともに時間をかけて検討を重ねてきた。近日中の公表にあたり今後、口腔ケアをどのように教育してケアの標準化に繋げていくかを検討しておく必要がある。
病院各々で口腔ケアの実施方法に違いが生じている理由は、これまでの発表にもあるように基礎教育で取り上げられておらず、各施設での教育に委ねられていることがその1つと考えられる。そこで今後、「気管挿管患者の口腔ケア実践ガイド」が公表された後に、皆様にはこれを基軸にして各施設の口腔ケアおよびその教育方法を「修正」ではなく「再検討」して頂きたいと考えている。重要なことは、自施設の方法が「合っている」「間違っている」を明確にすることではなく、実施されている口腔ケアがその目的に適った方法が実践できているかを、基準を持って再確認することにある。まず、口腔ケアの目的を「VAP予防」と直線的に考えるのではなく、「良好な口腔環境の維持」すなわち「口腔内の自浄効果が発揮できる湿潤環境の維持」にあることを再認識する必要がある。その上で、他の不顕性誤嚥の予防策を並行して講じることで、結果としてVAP予防に繋がると考えるべきである。このことは、各国が口腔ケアを他の不顕性誤嚥のためのケアを包含したVAPバンドルの1つとして取り入れていることにも通じている。このことが理解できていれば、ベッドサイドで患者個々の状態に応じた柔軟な「看護実践としての口腔ケアの検討」も可能になる。私は、「口腔ケアの目的の明確化」が口腔ケアの教育の要点と考えている。
次に、口腔ケアの実施手技についても検討されなければならない。洗浄法については不顕性誤嚥の危険性があることは言うまでもない。しかしながらブラッシングにより破壊された汚染物の除去は、洗浄法により効果的に回収できることは、いくつかの文献に散見される。そのため、ブラッシング法が安全に実施でき、その上で維持法によって適正な口腔内環境が維持できるように教育する必要がある。これらの具体的な方法は「口腔ケア実践ガイド」に盛り込んでいるが、それをどのように伝えていくことが効果的なのか、このことも会場の皆様と検討していきたい。
また、口腔ケア実施の評価についても検討してみたい。前述の内容から、口腔ケアの評価も「VAPが起こったかどうか」は評価の一助にはなるがそれだけですべてを評価できないことは言うまでもない。要は、ケアの目的を明確にすることで、その方法の評価や検討すべき点が明確になる。口腔ケアの目的が「口腔内の自浄効果が発揮できる環境にあるか」ということであれば、「口腔粘膜の湿潤度」「口腔内各部位での口腔内細菌数」「口腔の臭気」などもその評価に有用かと思われる。不顕性誤嚥の有無を評価するのであれば抜管後の気管チューブのカフの染色による汚染面積の評価も有効であろう。
このセッションでは当院の口腔ケアの現状をお示しした上で、どのように口腔ケアの教育や評価を進めていくかについて、会場の皆様との有効なディスカッションができればと考えている。
病院各々で口腔ケアの実施方法に違いが生じている理由は、これまでの発表にもあるように基礎教育で取り上げられておらず、各施設での教育に委ねられていることがその1つと考えられる。そこで今後、「気管挿管患者の口腔ケア実践ガイド」が公表された後に、皆様にはこれを基軸にして各施設の口腔ケアおよびその教育方法を「修正」ではなく「再検討」して頂きたいと考えている。重要なことは、自施設の方法が「合っている」「間違っている」を明確にすることではなく、実施されている口腔ケアがその目的に適った方法が実践できているかを、基準を持って再確認することにある。まず、口腔ケアの目的を「VAP予防」と直線的に考えるのではなく、「良好な口腔環境の維持」すなわち「口腔内の自浄効果が発揮できる湿潤環境の維持」にあることを再認識する必要がある。その上で、他の不顕性誤嚥の予防策を並行して講じることで、結果としてVAP予防に繋がると考えるべきである。このことは、各国が口腔ケアを他の不顕性誤嚥のためのケアを包含したVAPバンドルの1つとして取り入れていることにも通じている。このことが理解できていれば、ベッドサイドで患者個々の状態に応じた柔軟な「看護実践としての口腔ケアの検討」も可能になる。私は、「口腔ケアの目的の明確化」が口腔ケアの教育の要点と考えている。
次に、口腔ケアの実施手技についても検討されなければならない。洗浄法については不顕性誤嚥の危険性があることは言うまでもない。しかしながらブラッシングにより破壊された汚染物の除去は、洗浄法により効果的に回収できることは、いくつかの文献に散見される。そのため、ブラッシング法が安全に実施でき、その上で維持法によって適正な口腔内環境が維持できるように教育する必要がある。これらの具体的な方法は「口腔ケア実践ガイド」に盛り込んでいるが、それをどのように伝えていくことが効果的なのか、このことも会場の皆様と検討していきたい。
また、口腔ケア実施の評価についても検討してみたい。前述の内容から、口腔ケアの評価も「VAPが起こったかどうか」は評価の一助にはなるがそれだけですべてを評価できないことは言うまでもない。要は、ケアの目的を明確にすることで、その方法の評価や検討すべき点が明確になる。口腔ケアの目的が「口腔内の自浄効果が発揮できる環境にあるか」ということであれば、「口腔粘膜の湿潤度」「口腔内各部位での口腔内細菌数」「口腔の臭気」などもその評価に有用かと思われる。不顕性誤嚥の有無を評価するのであれば抜管後の気管チューブのカフの染色による汚染面積の評価も有効であろう。
このセッションでは当院の口腔ケアの現状をお示しした上で、どのように口腔ケアの教育や評価を進めていくかについて、会場の皆様との有効なディスカッションができればと考えている。