The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[IL1] クリティカルケアを支える建築デザインの知恵とワザ

Sat. Jun 15, 2019 3:30 PM - 4:30 PM 第2会場 (3F 国際会議室)

演者:鍋田 知宏(DesignLab.+Ca)
座長:佐藤 憲明(日本医科大学付属病院)

3:30 PM - 4:30 PM

[IL1] IL1

○鍋田 知宏1 (1. DesignLab.+Ca)

Keywords:院内環境作り、デザイン、建築デザイン

 昨年の診療報酬の改定など大きな改革を機に、病院の改修工事や新築工事が話題になっておりますが、より良い環境作りには、「行うべきコミュニケーション」と「考えるべきポイント」の2つがあります。実は、この「行うべきコミュニケーション」の欠如が、最も大きな壁を作っていたりします。
 新築や改修工事には、3つの国が関わり3つの言語が飛び交います。
・臨床現場国の言語
・事務方国の言語
・設計、施工国の言語
 夫々が全く違う言語で会話をしているのですが、そもそもそんな事を問題視していないので、一見会話が通じているようになってしまうところが恐ろしいところで、その実、噛み合っておらず、結果、臨床の方々がストレスを抱え、最終的には泣き寝入り、という事が往々としてあります。
 でも、これは、病院にとっておおきな損失ではないでしょうか。臨床現場国の住人が大きなモチベーションを持って、日々大活躍をしてくれることが病院の大きな収益や運営につながる事だと思うのです。イコール患者さんやご家族へのアプローチも向上していきます。
 そして、その臨床現場国の住人が、環境について、もっと身近に捉える事がとても大きな意味を持つことになります。
 それが「考えるべきポイント」です。自分の働く環境を、どのようにクリエイションするのか?医療の現場だけではなく、様々な職種でも問題になる事ですが、このポイントを自分達で作っていく習慣があまりないのが現状の日本でもあったりします。飲食店のデザイン設計なんかは、売り上げに直結するので、とてもシビアなキャッチボールが料理人と行われます。物販も同じ。これは、店舗環境がダイレクトにブランド構築に繋がるからなんです。イコール長期的な売り上げです。そして何より客が店を選びます。
 しかし、例えば、そこに直接お客が入らない空間、会社の執務室やスタッフだけが使うエリアなど、実際は、バックヤードなどと空間名が付けられ、なかなかお金を掛けてデザイン設計されない環境となっているのが実状です。でも、そこで働くスタッフにとっては、とても大きな問題ですし、スタッフのモチベーション、イコール会社の売り上げや発展に大きく繋がっていきます。とても重要です。
 では、クリティカルケア領域ではいかがでしょうか? 数種のプレーヤーが関わる環境となります。患者、家族、スタッフ、医療機器メーカーなどなど、、、そして、いちばん長くその環境に携わるのがスタッフとなります。患者変われどスタッフは毎日そこで仕事をします。オペレーションと環境とプレーヤーが密接に関係してくるのが医療領域だと思う訳ですが、なかなか繋がっていない現状もそこにあります。
 適切な眠りの環境、より良いリハビリ環境、、床壁天井だけではなく、照明環境の計画や、動線計画、必要機材による必要な面積、、当然、加算に対する環境整備、様々な問題が出てきます。
 そんな問題を解決するのがコンサルであったり、メーカーであったり、実は、デザイナーであったりします。
 異なる3つの言語国の間に入り、通訳や整理をし、臨床現場それぞれの理想の仕事現場を具現化するのがデザイナーの大きな仕事となります。