14:40 〜 14:50
[O10-2] ICU早期リハビリテーション初回実施時のバイタルサインの変化
キーワード:ICU、早期リハビリテーション、バイタルサインの変化
【目的】
看護師による安全な早期リハビリテーション(以下早期リハ)の実施につなげるため、ICU入室後48時間以内に床上関節他動・自動介助運動を実施した患者の、初回リハビリテーション(以下リハビリ)実施時のバイタルサインや症状の変化を明らかにする。
【方法】
2018年7~10月、ICU入室成人患者のうちリハビリ開始基準を満たし48時間以内に初回床上他動・自動介助運動を実施し同意を得られた患者を対象とし、初回早期リハ実施時のバイタルサインと症状の変化、リハビリ中止の有無とその理由を調査した。全患者、手術群、非手術群で、開始時と開始3分後、開始3分後と終了時、開始時と終了時のバイタルサインを対応のあるt検定を用いて比較、検討した。研究協力依頼は患者又はキーパーソンに文書と口頭で行った。本研究は所属機関の倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】
対象患者99人、同意が得られた患者72人(72.7%)、分析対象者60人(83.3%)。中止基準に該当したのは心拍数(以下HR)<40回/分の患者1人(1.7%)。自覚症状は1人(1.7%)に腰痛があり、他覚症状は全員がなかった。バイタルサインについて、SpO2、呼吸回数は平均値の変化がなかった。HRは開始時から3分後に微増し、終了時にかけて低下した。収縮期血圧(以下SBP)、拡張期血圧(以下DBP)、平均血圧(以下MBP)は開始時から3分後に微増した。SBPとDBPは開始時と開始3分後、開始時と終了時に、MBPは開始時と開始3分後に有意差を認めた。分析対象者全員を手術群、非手術群の2群に分けて検討すると、手術群でHR、SBP、DBP、MBPが開始時と開始3分後に、DBPは開始時と終了時にも有意差を認めた。非手術群は有意差がなかった。A病院ではSBP80mmHg未満もしくは180mmHg以上の場合を早期リハの中止基準に設定しているが、血圧が低下、上昇した場合の設定はない。本研究対象者の中に該当した患者はいなかった。しかし、関連した先行文献による「収縮期または拡張期血圧の20%低下」に該当する患者が2人(3.3%)、運動時SBP40mmHg以上の上昇に該当した患者が1人(1.7%)いた。
【考察】
本研究結果から、看護師による初回早期リハ実施時に、バイタルサインの変化や自覚・他覚症状の出現はほとんどなく、安全に早期リハを実施することができた。適切な開始・中止基準やマニュアルを作成し、看護師が常時モニタリング、全身状態の観察をしたこと、多職種が連携して知識や情報を共有して早期リハを実施したことで有害事象のリスクが軽減したと考えられる。基準を守ってリハビリを実施しても、急激にバイタルサインが変化する可能性があり、初回リハビリ実施時、特に術後の患者はリハビリ開始から3分間のHRと血圧の変化に注意して実施すること、また患者の訴えを傾聴して症状の変化に注意することで個々の患者の状態に合わせて早期リハを実施することが看護師に求められると考えられる。先行文献によると早期リハには様々な効果がある可能性が示されているため、A病院における効果についても引き続き検討していく。
看護師による安全な早期リハビリテーション(以下早期リハ)の実施につなげるため、ICU入室後48時間以内に床上関節他動・自動介助運動を実施した患者の、初回リハビリテーション(以下リハビリ)実施時のバイタルサインや症状の変化を明らかにする。
【方法】
2018年7~10月、ICU入室成人患者のうちリハビリ開始基準を満たし48時間以内に初回床上他動・自動介助運動を実施し同意を得られた患者を対象とし、初回早期リハ実施時のバイタルサインと症状の変化、リハビリ中止の有無とその理由を調査した。全患者、手術群、非手術群で、開始時と開始3分後、開始3分後と終了時、開始時と終了時のバイタルサインを対応のあるt検定を用いて比較、検討した。研究協力依頼は患者又はキーパーソンに文書と口頭で行った。本研究は所属機関の倫理審査委員会の承認を得て実施した。
【結果】
対象患者99人、同意が得られた患者72人(72.7%)、分析対象者60人(83.3%)。中止基準に該当したのは心拍数(以下HR)<40回/分の患者1人(1.7%)。自覚症状は1人(1.7%)に腰痛があり、他覚症状は全員がなかった。バイタルサインについて、SpO2、呼吸回数は平均値の変化がなかった。HRは開始時から3分後に微増し、終了時にかけて低下した。収縮期血圧(以下SBP)、拡張期血圧(以下DBP)、平均血圧(以下MBP)は開始時から3分後に微増した。SBPとDBPは開始時と開始3分後、開始時と終了時に、MBPは開始時と開始3分後に有意差を認めた。分析対象者全員を手術群、非手術群の2群に分けて検討すると、手術群でHR、SBP、DBP、MBPが開始時と開始3分後に、DBPは開始時と終了時にも有意差を認めた。非手術群は有意差がなかった。A病院ではSBP80mmHg未満もしくは180mmHg以上の場合を早期リハの中止基準に設定しているが、血圧が低下、上昇した場合の設定はない。本研究対象者の中に該当した患者はいなかった。しかし、関連した先行文献による「収縮期または拡張期血圧の20%低下」に該当する患者が2人(3.3%)、運動時SBP40mmHg以上の上昇に該当した患者が1人(1.7%)いた。
【考察】
本研究結果から、看護師による初回早期リハ実施時に、バイタルサインの変化や自覚・他覚症状の出現はほとんどなく、安全に早期リハを実施することができた。適切な開始・中止基準やマニュアルを作成し、看護師が常時モニタリング、全身状態の観察をしたこと、多職種が連携して知識や情報を共有して早期リハを実施したことで有害事象のリスクが軽減したと考えられる。基準を守ってリハビリを実施しても、急激にバイタルサインが変化する可能性があり、初回リハビリ実施時、特に術後の患者はリハビリ開始から3分間のHRと血圧の変化に注意して実施すること、また患者の訴えを傾聴して症状の変化に注意することで個々の患者の状態に合わせて早期リハを実施することが看護師に求められると考えられる。先行文献によると早期リハには様々な効果がある可能性が示されているため、A病院における効果についても引き続き検討していく。