2:30 PM - 2:40 PM
[O2-2] O2-2
Keywords:人工呼吸管理、心臓手術患者、全身清拭、感情
【目的】
集中治療室に入室する人工呼吸管理患者は浅鎮静管理によって意識が保たれることからうまく思いが伝わらずもどかしい思いをすることがある。また、患者によっては我慢しなければならないと思い込み、本心を言えないこともある。とくに全身清拭では体位変換に伴い呼吸循環動態に影響することがあり、看護師のペースで行ってしまうことが多い。このことから、本来の全身清拭がもたらす爽快感などは得られにくく、ストレスになっているのではないかと考える。そこで、本研究の目的は、集中治療室に入室し人工呼吸管理を受けた患者が、全身清拭を経験し全身清拭に対してどのような感情を抱いたのか明らかにすることとした。
【研究方法】
研究デザインは質的記述的研究とした。研究対象者は、せん妄・認知症・精神疾患・脳神経系疾患がなく、集中治療室で人工呼吸管理中に全身清拭を経験した成人患者とした。データ収集方法は、診療録調査と半構造化面接とした。面接は、集中治療室退室後に行い、人工呼吸管理中に受けた全身清拭に対する感情を中心に質問した。そして、事例ごとに全身清拭に対する感情を示すデータを抽出し、類似性をもとにカテゴリー化した。その後、事例間の共通点と相違点を検討した。
【倫理的配慮】
本研究は、研究者の所属施設および研究協力施設の研究倫理審査の承認を得た。研究協力者には書面で研究目的、研究方法、研究協力の自由意思ならびに拒否権、匿名性の確保について説明し、同意を得た。
【結果】
選定条件に合致し、研究協力に同意を得られたのは3名だった。事例Aは50歳代の男性で、冠動脈バイパス術後、6日間人工呼吸管理を受けていた。全身清拭に対し【人工呼吸中は清拭をしてもらっていることを考える余裕がない】【苦痛が強いときの清拭には丁寧さよりも素早さを望む】【抜管後の全身清拭の方が気持ちいい】【朝から贅沢な気持ちになる全身清拭を待ちわびる】【動きたくても動けないときの全身清拭はありがたい】【丁寧な声かけとともに拭いてもらえると頑張れる】という思いが語られた。事例Bは70歳代の女性で、僧帽弁形成術後、3日間人工呼吸管理を受けていた。全身清拭に対し【看護師に拭いてもらうよりも自分で拭くほうがさっぱりする】【創の状態に合わせて拭いてもらっていると感じる】【温かいタオルで手際よく拭いてもらうのが気持ちよい】【異性の看護師による清拭に戸惑う】という思いが語られた。事例Cは80歳代の女性で、大動脈弁置換置換術後、2日間人工呼吸管理を受けていた。全身清拭に対し【創が弾けることが怖くて自分では拭けない】【洗ったり拭いたりしてもらえると気持ちがいい】【異性の看護師による清拭の方がよい】という思いが語られた。
【考察】
本研究では、3事例とも看護師から適宜声をかけて拭いてもらえると感じていたことから、声をかけてもらうことで状況を理解することができ、安心感につながり、痛みの有無にかかわらず拭いてもらうことで気持ちのよさを感じていたと考えられた。このことから、集中治療室での全身清拭においても爽快感を得られることが明らかになった。そして、患者に対する気遣いが大切であり、短期間でも声をかけて関わり続けることで患者と看護師の関係性が深まることがわかった。また、男性看護師が行う全身清拭には、事例Bと事例Cで受け止め方の違いがあった。しかし、実際に男性看護師を拒むことはなく、看護師が真摯な態度を示していた結果と推察された。このことから、考え方には個人差があり、患者の物事に関する価値観を捉えた援助方法を検討することが必要であると考えた。
集中治療室に入室する人工呼吸管理患者は浅鎮静管理によって意識が保たれることからうまく思いが伝わらずもどかしい思いをすることがある。また、患者によっては我慢しなければならないと思い込み、本心を言えないこともある。とくに全身清拭では体位変換に伴い呼吸循環動態に影響することがあり、看護師のペースで行ってしまうことが多い。このことから、本来の全身清拭がもたらす爽快感などは得られにくく、ストレスになっているのではないかと考える。そこで、本研究の目的は、集中治療室に入室し人工呼吸管理を受けた患者が、全身清拭を経験し全身清拭に対してどのような感情を抱いたのか明らかにすることとした。
【研究方法】
研究デザインは質的記述的研究とした。研究対象者は、せん妄・認知症・精神疾患・脳神経系疾患がなく、集中治療室で人工呼吸管理中に全身清拭を経験した成人患者とした。データ収集方法は、診療録調査と半構造化面接とした。面接は、集中治療室退室後に行い、人工呼吸管理中に受けた全身清拭に対する感情を中心に質問した。そして、事例ごとに全身清拭に対する感情を示すデータを抽出し、類似性をもとにカテゴリー化した。その後、事例間の共通点と相違点を検討した。
【倫理的配慮】
本研究は、研究者の所属施設および研究協力施設の研究倫理審査の承認を得た。研究協力者には書面で研究目的、研究方法、研究協力の自由意思ならびに拒否権、匿名性の確保について説明し、同意を得た。
【結果】
選定条件に合致し、研究協力に同意を得られたのは3名だった。事例Aは50歳代の男性で、冠動脈バイパス術後、6日間人工呼吸管理を受けていた。全身清拭に対し【人工呼吸中は清拭をしてもらっていることを考える余裕がない】【苦痛が強いときの清拭には丁寧さよりも素早さを望む】【抜管後の全身清拭の方が気持ちいい】【朝から贅沢な気持ちになる全身清拭を待ちわびる】【動きたくても動けないときの全身清拭はありがたい】【丁寧な声かけとともに拭いてもらえると頑張れる】という思いが語られた。事例Bは70歳代の女性で、僧帽弁形成術後、3日間人工呼吸管理を受けていた。全身清拭に対し【看護師に拭いてもらうよりも自分で拭くほうがさっぱりする】【創の状態に合わせて拭いてもらっていると感じる】【温かいタオルで手際よく拭いてもらうのが気持ちよい】【異性の看護師による清拭に戸惑う】という思いが語られた。事例Cは80歳代の女性で、大動脈弁置換置換術後、2日間人工呼吸管理を受けていた。全身清拭に対し【創が弾けることが怖くて自分では拭けない】【洗ったり拭いたりしてもらえると気持ちがいい】【異性の看護師による清拭の方がよい】という思いが語られた。
【考察】
本研究では、3事例とも看護師から適宜声をかけて拭いてもらえると感じていたことから、声をかけてもらうことで状況を理解することができ、安心感につながり、痛みの有無にかかわらず拭いてもらうことで気持ちのよさを感じていたと考えられた。このことから、集中治療室での全身清拭においても爽快感を得られることが明らかになった。そして、患者に対する気遣いが大切であり、短期間でも声をかけて関わり続けることで患者と看護師の関係性が深まることがわかった。また、男性看護師が行う全身清拭には、事例Bと事例Cで受け止め方の違いがあった。しかし、実際に男性看護師を拒むことはなく、看護師が真摯な態度を示していた結果と推察された。このことから、考え方には個人差があり、患者の物事に関する価値観を捉えた援助方法を検討することが必要であると考えた。