The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[O3] 呼吸・循環1

Sat. Jun 15, 2019 2:20 PM - 3:20 PM 第5会場 (B2F リハーサル室)

座長:坂本 美賀子(済生会熊本病院)

2:20 PM - 2:30 PM

[O3-1] O3-1

○加覧 妙子1 (1. 鹿児島大学病院ICU)

Keywords:口腔ケア、シミュレーション教育、気管内挿管患者

【はじめに】
 A病院ICUでは、全入室患者のうち気管内挿管患者が66%を占めている。人工呼吸器関連肺炎VAPの発生件数は増加傾向にあり、バンドルをもとにベッドアップ・口腔ケア技術向上、カフ圧管理などの看護ケアを実施している。気管内挿管患者は、誤嚥性肺炎や感染症を引き起こす可能性が高く、予後に大きく影響するため口腔ケアは重要なケアの1つである。挿管患者はの口腔ケアは、技術の習得が必須であり毎年新入職者や異動者へ口腔ケア方法の指導を行ってきた。しかし、スタッフの技術や知識不足・経験の個人差やケアが不十分で実施できていない現状があるのではないかと疑問を持った。そこで今回、知識や技術の見直しを行い、看護師経験に関係なくケア方法の統一を図るため、歯科口腔ケアチームによる講義・シミュレーション等を行い、看護師の口腔ケアに関する意識の変化について、比較・検討したので報告する。
【方法】
 2018年7月1日~8月30日 A病院ICU看護師42名を対象とした。講義受講前に現状把握のため事前アンケートを実施。その後、第1段階「講義」第2段階「DVD視聴」第3段階「模擬患者を使用したシミュレーション」を行い、第3段階が終了した1か月後、アンケートを実施した。結果についてχ検定を用い、比較・検討を行った。
【倫理的配慮】
 対象者へ文書にて調査目的・方法・守秘・結果公表について説明し、同意を得た。
【結果・考察】
 口腔ケアに「自信がある」と答えたスタッフは、講義前9%、講義後33.3%であり、講義前後での「自信がある」を比較した結果、有意差がみられた(p<0.006)。これは、「水による流水洗浄が不要」「ブラッシングの方法」などの知識や技術を得られたことで、有効なケア方法を獲得し、自信へつながったのではないかと推察される。一方で、「自信がない」と答えたスタッフは減少していなかった。理由として、「潰瘍や粘膜腫脹の強い患者に対するケア」「開口困難な患者の口腔ケアが難しい」などの意見があった。今回の講義は、開口障害のある患者の開口方法や易出血状態にある患者のケア方法は含まれていた。しかし、1回の講義では手技を習得するすることができず、患者へのケア実施への自信にはつながらないのではないかと考えた。
 今回は口腔ケアに対するスタッフの意識の変化に対する調査を行った。今後は、口腔ケアチームの専門的知識・技術を活用し、シミュレーションを継続することで技術の向上を目指したい。また、ICU看護師の専門的な口腔ケアに関する指導者の育成を行い、プロトコールの作成などでケアの質を向上させ、個々の患者に合ったケアを提供できるシステム作りが必要であることが示唆された。