4:00 PM - 4:10 PM
[O4-4] O4-4
Keywords:NPPVマスク、MDRPU
【背景】
近年、非侵襲的陽圧管理(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)の適応疾患は拡大され使用頻度も増えている。NPPVは24時間マスクを顔に装着させ換気を行うため皮膚損傷が起きやすい。日本褥瘡学会ではこれらの損傷を医療関連機器圧迫損傷(Medical Device Related Pressure Ulcer:MDRPU)として従来の褥瘡と区別して位置づけている。褥瘡学会が実施した医療関連機器圧迫損傷に関する実態調査(2013)では大学病院におけるMDRPU発生の原因となった医療機器の中でもNPPVマスクは全体の20%を占め2番目に多い。NPPVマスクによるMDRPUを予防するための方法として、患者にあったマスクサイズや形状の選択が重要である。しまし、マスクのサイズや形状は複数あり、現場では変更する種類やタイミング等については看護師個々の判断に委ねられている。そのため、NPPVマスクを選択するためにアルゴリズムを作成する必要がある。
【目的】
A病院におけるNPPVマスクが原因のMDRPUが発生した患者の基礎データを収集し、MDRPU発生要因を抽出しアルゴリズム作成に活かす。
【方法】
研究デザイン:診療録を用いた後ろ向き調査。
研究対象:入院しNPPV治療を実施した患者。
調査機関:2013年1月1日から2015年12月31日。
データ収集方法:診療録からのデータを収集。
データ収集内容:基礎情報(年齢、性別、体重、BMI、診療科、診断名、義歯の有無、浮腫の有無、マスク着用に対する理解度、せん妄の有無)、NPPV治療状況(使用日数、モード、鎮静剤使用の有無、マスク形状、リーク率)、MDRPU発生状況(発生日、発生部位)、予防処置(時期、内容)。
分析方法:項目ごとに単純集計を行った。
【倫理的配慮】所属施設の倫理委員会の承諾を得て実施した。
【結果】
対象者は134名で、男性76名(56%)、女性58名(43%)で平均年齢は74.4歳であった。NPPVマスクによるMDRPU発生は9件(6%)あり、治療開始後平均1.3日(最低0日~最大3日)で発生していた。マスク使用日数は平均4.2日であった。皮膚損傷の部位は鼻根部が8件(88%)、頬が1件(11%)であった。予防処置は発生群では8件(88%)未発生群では61件(49%)実施しており、全件鼻根部への創傷被覆材を貼付していた。義歯の有は発生群で5件(56%)、未発生群で53件(42%)であった。NPPVマスクのリーク率はMDRPU発生群で平均45.0%、未発生群では平均45.5%であった。
【考察】
MDRPUの発生時期は長くても3日以内で発生していることから、今回の調査では長期使用が発生の原因とはいえない。そのため、治療開始の早期段階での予防ケアが重要であるといえる。また、発生部位は鼻根部が88%であった。治療中はベッドアップしているためマスクに下方への重力がかかる。義歯を装着している患者の場合、義歯をはずすと頬や顎がくぼむことで、マスクが接触し圧が加わりやすい鼻根部にMDRPUが発生しやすい。以上のことから、サイズ変更の時期、義歯の有無に着目したアルゴリズムの作成が望まれる。
近年、非侵襲的陽圧管理(noninvasive positive pressure ventilation:NPPV)の適応疾患は拡大され使用頻度も増えている。NPPVは24時間マスクを顔に装着させ換気を行うため皮膚損傷が起きやすい。日本褥瘡学会ではこれらの損傷を医療関連機器圧迫損傷(Medical Device Related Pressure Ulcer:MDRPU)として従来の褥瘡と区別して位置づけている。褥瘡学会が実施した医療関連機器圧迫損傷に関する実態調査(2013)では大学病院におけるMDRPU発生の原因となった医療機器の中でもNPPVマスクは全体の20%を占め2番目に多い。NPPVマスクによるMDRPUを予防するための方法として、患者にあったマスクサイズや形状の選択が重要である。しまし、マスクのサイズや形状は複数あり、現場では変更する種類やタイミング等については看護師個々の判断に委ねられている。そのため、NPPVマスクを選択するためにアルゴリズムを作成する必要がある。
【目的】
A病院におけるNPPVマスクが原因のMDRPUが発生した患者の基礎データを収集し、MDRPU発生要因を抽出しアルゴリズム作成に活かす。
【方法】
研究デザイン:診療録を用いた後ろ向き調査。
研究対象:入院しNPPV治療を実施した患者。
調査機関:2013年1月1日から2015年12月31日。
データ収集方法:診療録からのデータを収集。
データ収集内容:基礎情報(年齢、性別、体重、BMI、診療科、診断名、義歯の有無、浮腫の有無、マスク着用に対する理解度、せん妄の有無)、NPPV治療状況(使用日数、モード、鎮静剤使用の有無、マスク形状、リーク率)、MDRPU発生状況(発生日、発生部位)、予防処置(時期、内容)。
分析方法:項目ごとに単純集計を行った。
【倫理的配慮】所属施設の倫理委員会の承諾を得て実施した。
【結果】
対象者は134名で、男性76名(56%)、女性58名(43%)で平均年齢は74.4歳であった。NPPVマスクによるMDRPU発生は9件(6%)あり、治療開始後平均1.3日(最低0日~最大3日)で発生していた。マスク使用日数は平均4.2日であった。皮膚損傷の部位は鼻根部が8件(88%)、頬が1件(11%)であった。予防処置は発生群では8件(88%)未発生群では61件(49%)実施しており、全件鼻根部への創傷被覆材を貼付していた。義歯の有は発生群で5件(56%)、未発生群で53件(42%)であった。NPPVマスクのリーク率はMDRPU発生群で平均45.0%、未発生群では平均45.5%であった。
【考察】
MDRPUの発生時期は長くても3日以内で発生していることから、今回の調査では長期使用が発生の原因とはいえない。そのため、治療開始の早期段階での予防ケアが重要であるといえる。また、発生部位は鼻根部が88%であった。治療中はベッドアップしているためマスクに下方への重力がかかる。義歯を装着している患者の場合、義歯をはずすと頬や顎がくぼむことで、マスクが接触し圧が加わりやすい鼻根部にMDRPUが発生しやすい。以上のことから、サイズ変更の時期、義歯の有無に着目したアルゴリズムの作成が望まれる。