5:10 PM - 5:20 PM
[O6-4] O6-4
Keywords:せん妄、家族、看護実践
【目的】
ICUにおいてせん妄を発症した対象者の家族がたどる心理的変化に関する先行研究は散見されたが、具体的な看護実践に関する原著論文はあまりみられなかった。そのため、ICUにおけるせん妄を発症した対象者の家族に対し看護師がどのような看護を実践しているのか明らかにすることを本研究の目的とする。
【方法】
研究デザインは半構造的面接による質的記述的研究である。研究対象者はICUに勤務し、術後せん妄を発症した対象者を受け持った経験のある看護師とし、面接内容は家族に対する対応、情報提供、環境整備等とし、内容分析によりデータを分析した。倫理的配慮として、研究目的および方法、自由意思による参加、研究参加に同意した後にも中止可能、不参加および中断による不利益を被らない、個人情報及びプライバシーの保護、話したくない内容については話さなくともよい、学会への公表することについて、文書を用いて説明し文書による同意を得た。なお、本研究は北海道科学大学の倫理審査委員会の承認を受けた(申請番号 第342号)。
【結果】
研究対象者は4名ですべて女性であり、ICU勤務経験年数は3.6~20年であった。面接時間は14~28(平均21.5)分であった。半構造的面接の内容から逐語録を作成し分析した結果、68切片、30ラベル、18サブカテゴリ、以下の6カテゴリが抽出された。①【衝撃を受けた家族への共感と対応】のカテゴリは<家族の思いを受け止める><共感><家族の反応><恐怖心への対応><家族の不安の軽減>の5つのサブカテゴリから構成された。同様に、②【せん妄・病状・ケアの情報提供】のカテゴリは<せん妄についての情報提供><治療や看護ケアの説明>の2つのサブカテゴリから、③【家族の疲労への対応】のカテゴリは<面会サポート><面会調整><面会環境調整><家族の疲労へのケア><家族の休息>という6つのサブカテゴリから、④【意図的に対象者とのかかわりを促す】のカテゴリは<対象者にとって重要な関わりを促す>というサブカテゴリから、⑤【家族からの情報を得て環境づくり】のカテゴリは<感覚器への刺激>と<日常生活に近づける工夫>の2つのサブカテゴリから、そして⑥【対象者の効果的なケアへの参加を促す】のカテゴリは<家族が行えるケア><ケアの提案><対象者に寄り添うことを勧める>の3つのサブカテゴリから構成された。
【考察】
せん妄を発症した対象者を目の当たりにした家族は、普段と違う対象者の様子に戸惑い、衝撃を受け、混乱するが、対象者の状態を理解するには情報が不足していることが予測される。本研究の結果から、看護師は家族の反応に合わせた心理的援助、情報提供、家族の表情から疲労を読み取り、声掛けを行い、家族の負担を軽減しながら面会を継続できるような関わりを行っていた。さらに、家族に対して対象者への関わりを促し、家族にとっても対象者と関わる機会ができることで不安の軽減や家族のニードを満たすことにつながると考えられる。本研究において看護師は家族が行えるケアを提案し参加してもらうことだけではなく、家族が対象者に寄り添う事の必要性について述べていた。これらは、山勢ら1)の重症・救急患者家族アセスメントのためのニード&コーピングスケールのうち、社会的サポート、情緒的サポート、安楽・安寧、接近のニードを充足するための看護が実践されていた。
引用文献 1)山勢博彰:重症・救急患者家族のニードとコーピングに関する構造モデルの開発—ニードとコーピングの推移の特徴から—,日本看護研究学会雑誌,29(2),p95-102,2006.
ICUにおいてせん妄を発症した対象者の家族がたどる心理的変化に関する先行研究は散見されたが、具体的な看護実践に関する原著論文はあまりみられなかった。そのため、ICUにおけるせん妄を発症した対象者の家族に対し看護師がどのような看護を実践しているのか明らかにすることを本研究の目的とする。
【方法】
研究デザインは半構造的面接による質的記述的研究である。研究対象者はICUに勤務し、術後せん妄を発症した対象者を受け持った経験のある看護師とし、面接内容は家族に対する対応、情報提供、環境整備等とし、内容分析によりデータを分析した。倫理的配慮として、研究目的および方法、自由意思による参加、研究参加に同意した後にも中止可能、不参加および中断による不利益を被らない、個人情報及びプライバシーの保護、話したくない内容については話さなくともよい、学会への公表することについて、文書を用いて説明し文書による同意を得た。なお、本研究は北海道科学大学の倫理審査委員会の承認を受けた(申請番号 第342号)。
【結果】
研究対象者は4名ですべて女性であり、ICU勤務経験年数は3.6~20年であった。面接時間は14~28(平均21.5)分であった。半構造的面接の内容から逐語録を作成し分析した結果、68切片、30ラベル、18サブカテゴリ、以下の6カテゴリが抽出された。①【衝撃を受けた家族への共感と対応】のカテゴリは<家族の思いを受け止める><共感><家族の反応><恐怖心への対応><家族の不安の軽減>の5つのサブカテゴリから構成された。同様に、②【せん妄・病状・ケアの情報提供】のカテゴリは<せん妄についての情報提供><治療や看護ケアの説明>の2つのサブカテゴリから、③【家族の疲労への対応】のカテゴリは<面会サポート><面会調整><面会環境調整><家族の疲労へのケア><家族の休息>という6つのサブカテゴリから、④【意図的に対象者とのかかわりを促す】のカテゴリは<対象者にとって重要な関わりを促す>というサブカテゴリから、⑤【家族からの情報を得て環境づくり】のカテゴリは<感覚器への刺激>と<日常生活に近づける工夫>の2つのサブカテゴリから、そして⑥【対象者の効果的なケアへの参加を促す】のカテゴリは<家族が行えるケア><ケアの提案><対象者に寄り添うことを勧める>の3つのサブカテゴリから構成された。
【考察】
せん妄を発症した対象者を目の当たりにした家族は、普段と違う対象者の様子に戸惑い、衝撃を受け、混乱するが、対象者の状態を理解するには情報が不足していることが予測される。本研究の結果から、看護師は家族の反応に合わせた心理的援助、情報提供、家族の表情から疲労を読み取り、声掛けを行い、家族の負担を軽減しながら面会を継続できるような関わりを行っていた。さらに、家族に対して対象者への関わりを促し、家族にとっても対象者と関わる機会ができることで不安の軽減や家族のニードを満たすことにつながると考えられる。本研究において看護師は家族が行えるケアを提案し参加してもらうことだけではなく、家族が対象者に寄り添う事の必要性について述べていた。これらは、山勢ら1)の重症・救急患者家族アセスメントのためのニード&コーピングスケールのうち、社会的サポート、情緒的サポート、安楽・安寧、接近のニードを充足するための看護が実践されていた。
引用文献 1)山勢博彰:重症・救急患者家族のニードとコーピングに関する構造モデルの開発—ニードとコーピングの推移の特徴から—,日本看護研究学会雑誌,29(2),p95-102,2006.