The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[O6] 鎮痛・鎮静・せん妄2

Sat. Jun 15, 2019 4:50 PM - 6:00 PM 第3会場 (3F 小会議室31)

座長:丸林 美代子(浜の町病院)

5:30 PM - 5:40 PM

[O6-6] O6-6

○松石 雄二朗1,2、星野 晴彦1,2 (1. 筑波大学附属病院 看護部、2. 筑波大学 人間総合科学研究科 疾患制御医学専攻 )

Keywords:PADIS、ラウンドチーム、アセスメント評価

【目的】
小児においては痛みやせん妄はアセスメントツールを使用しないと評価が難しいことが既に報告されており、アセスメントツールを使用することの重要性が叫ばれている。しかしながら、未だアセスメントツールを使用して小児患者の症状をアセスメントする文化が普及しているとは言えない。そこで、現在当院では小児の痛み、不穏、せん妄、不動、離脱、睡眠サポートチーム(Pediatric Pain, Agitation, Delirium, Immobility, Withdrawal, Sleep support team: PED- PADIWS ST)を結成しラウンドを行っている。今回、ラウンド活動時に受け持ち看護師のアセスメント構造にアセスメントスケールが用いられているかの評価を行ったため報告する。
【方法】
筋弛緩中を除き、ラウンドチームがラウンド中に受け持ち看護師に痛み、鎮静、せん妄、離脱症状を評価してもらい、その際の発言が①:アセスメントツールを用いて表現したか(以下、ツール評価)、評価②:薬剤の投与量で評価したか(以下、薬剤による評価) 評価③:アセスメントツールを用いず、それぞれの言葉で表現し評価を行ったか(以下、言語評価)の記録を行った。なお、①②③を組み合わせて発言した場合は①>②>③の優先順位の評価とした。
また、ラウンドチームは鎮静評価はRASS、SBS、せん妄評価はCAPD、psCAM-ICU、SOS-PD、精神科医の判断、疼痛評価はFLACC、NRS、FaceScale、離脱評価はWAT-1、SOS-PDの記録を行った。また、看護師のツール評価と経験年数に関連性があるかを患者の年齢と発達障害を共変量としてベイズ推定に基づく一般化混合線形モデルで評価した。
なお、本研究は筑波大学附属病院倫理審査委員会の承認を得ている。
【結果】
対象となるアセスメントの評価はのべ47回であった。看護師の集中治療室での平均経験年数は3.7年(SD±2.5)であり、対象の患者は平均年齢23週齢(SD±50)、対象の19%は発達遅滞の診断があり、12%は21トリソミーの診断のある患児であった。
PED- PADIWS STによる鎮静評価では昏睡が42% に生じており、看護師による評価はツール評価:6%、薬剤による評価:31%、言語評価:48%であった。
看護師の疼痛評価はツール評価:4%、薬剤による評価:2%、言語評価:94%であり、PED- PADIWS STによる評価では疼痛が13%に生じていた。しかしながら、全ての症例で看護師はスケールが使用しておらず、言語評価で疼痛は無いと表現されていた。
看護師のせん妄評価はツール評価:2%、言語評価:98%であり、PED- PADIWS STによるせん妄評価では発生率は26%であった。しかしながら、看護師による評価では1例のみ言語評価によってせん妄を疑うと表現されており、その他の症例は症状を見逃されていた。
看護師による離脱症状の評価は全例で言語評価であり、PED- PADIWS STによる評価では全例で離脱症状は認めなかった。そして、看護師のツール評価と経験年数の関連については有意な関連が認められなかった。(オッズ比1.4、95%信用区間 0.04-225)
【結論】
経験年数に有意な関連無く、ラウンド時における看護師のPADに対するアセスメントはどの症状に対しても10%以下に留まり、疼痛及びせん妄は症状が見逃されていた。今後教育プランを展開し、アセスメントを強化する必要が示唆される。