The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[O7] 看護教育

Sun. Jun 16, 2019 9:00 AM - 10:10 AM 第5会場 (B2F リハーサル室)

座長:宮本 いずみ(久留米大学)

9:30 AM - 9:40 AM

[O7-4] O7-4

○江尻 晴美1、篠崎 惠美子2 (1. 中部大学生命健康科学部保健看護学科、2. 人間環境大学大学院看護学研究科)

Keywords:集中治療後症候群(PICS)、教育

【はじめに】
 集中治療後症候群(PICS)は、集中治療室(ICU)在室中あるいは退室後、さらには退院後に生じる身体機能、認知機能、精神の障害である。ICU死亡率や28日生存率など、短期的なアウトカムの改善に伴い、集中治療を受けた患者に対するICU内外の多職種医療者による継続的な支援が必要である。
【目的】
 ICU看護師のICU経験年数別におけるPICSの教育に対する考えを明らかにする。
【方法】
 対象者:A地方1県の急性期病院63施設のうち、研究協力の同意を得た24施設のICU看護師475名。
 データ収集方法:無記名自記式郵送質問紙調査。調査内容:作成した調査票で①対象者の背景②PICSについて「知っている」「少し知っている」「聞いたことがある」「知らない」で回答をしてもらった。③PICSを「知らない」と回答した対象者以外に、PICSの看護に関する認識の10項目と、PICSの症状・要因34項目を「非常にそう思う」~「全く思わない、わからない」の6段階で回答を求めた。今回は、日本看護研究学会東海地方会にて報告した本調査項目全体の概要をもとに、PICSの看護教育に関する認識3項目についてICU経験年数別に二次分析した。分析にはIBM SPSS Statistics Ver 22.0を用いた。
【倫理的配慮】
 当該施設倫理審査委員会の承認を得て行った(30014)。無記名調査であること、研究協力の自由とデータの厳重な管理、結果公表等を文書で説明した。
【結果】
 177名より回答を得て、記載漏れのない155名分を分析した。看護師経験年数は平均11.3年±7.6、ICU経験年数は平均5.3年±4.1であった。PICSを知っているかの問いに対して、「知っている」「少し知っている」「聞いたことがある」と回答した者は82名(52.9%)であった。82名のICU経験年数の内訳は、3年未満15名(18.3%)、3年以上5年未満17名(20.7%)、5年以上10年未満30名(36.6%)、10年以上20名(24.4%)であった。ICU経験年数3年未満の対象者50名のうち、70%がPICSを知らないと回答した。82名にPICSに関する看護の認識を確認した。PICSに関する看護基礎教育の必要性については、「非常にそう思う」「ある程度そう思う」と回答した者は42名(51.2%)で、うち24名はICU経験が5年目以上であった。PICSのICU内での勉強会の必要性については、「非常にそう思う」「ある程度そう思う」と回答した者は66名(80.5%)で、うち41名はICU経験が5年目以上であった。PICSの院内での勉強会の必要性については、「非常にそう思う」「ある程度そう思う」と回答した者は40名(48.7%)で、うち24名はICU経験が5年目以上であった。
【考察】
 対象者のうち、約半数はPICSを知らないと回答しており、特に3年未満の看護師の中で知らないと回答した割合が高かった。このことから、PICSの概念は広く浸透しているとはいえず、特に3年未満の看護師はその傾向が強かったといえる。我々の先行研究では、学会やセミナーの参加、雑誌等からの情報収集によりPICSを知ったことが明らかになっており、経験年数の長い看護師は、自らの学習の機会を得てPICSを知ることになったと考える。PICSについてのICU内での勉強会は、ICU経験年数5年目以上の看護師が必要であると強く考えており、特にICU経験年数の浅い看護師に対するPICSに関する教育の必要性が示唆された。