The 15th Annual Meeting of Japan Academy of Critical Care Nursing

Presentation information

Oral presentation

[O8] その他

Sun. Jun 16, 2019 10:20 AM - 11:30 AM 第5会場 (B2F リハーサル室)

座長:小島 朗(大原綜合病院)

10:30 AM - 10:40 AM

[O8-2] O8-2

○雀地 洋平1 (1. KKR札幌医療センター)

Keywords:災害看護、災害訓練、トリアージ

【はじめに】
 A病院は、がん診療と救急診療を柱として地域の急性期医療を担う総合病院である。救急部門では、24時間体制で救急患者の受入れを行っており、全診療科の2次救急も受け入れている。救急外来では、救急科の専従の医師、看護師はおらず、各科の医師や看護師が当番制で勤務している。災害に対する取り組みとしては、全職員を対象にした被災状況報告とトリアージ訓練を年に1回実施している。看護部では、トリアージ訓練を中心とした災害訓練を各部署で任命したリンクナースを中心に年に1回と、各部署での被災状況報告訓練や応急処置の学習会などを年に数回行っている。
【目的】
 今回近隣で夜間に発生したガス爆発事故により、熱傷、擦過傷、骨折などを受傷したトリアージカテゴリーⅡ・Ⅲの患者が26名緊急搬送された。災害発生による外傷患者のトリアージ訓練は災害訓練時に実施していたが、実際に受け入れる経験は今までなかった。そこで、今回の災害発生時の患者受け入れに対して、今まで実施してきた災害訓練などの効果と課題を見出すことを目的とした。
【方法】
 今回の患者受け入れ要請から終息するまでの出来事と、災害対策マニュアル、患者受け入れフロー、必要物品を時系列で照合し整理した。また、受け入れを行った職員との振り返りででた意見も取り入れた。その中から訓練されていたことと、訓練されていなかったことに分け、院内で選出した災害小委員会内で効果と課題を具体的に整理した。本研究は当院看護部の倫理委員会の審査を受け実施した。
【結果】
 訓練の効果があったこととして、トリアージタグの使用方法や各救護所の活動内容を理解し患者の処置を実施することができた。災害緊急連絡網を使用して、医師、看護師、コメディカル、事務員など60名以上の職員が集まった。課題としては、CSCATTTについてとそれぞれの役割の認識に個人差があった。緑救護所が訓練時の状況設定との違いが大きく、処置の効率が悪かった。消防や警察との連携やトリアージタグの運用方法の取り決めが不十分であった。訓練では、季節、天候、時間帯を具体的に想定しておらず、必要物品に不足があった。カルテ記載やコスト算定についても課題が残り、後日の診療や会計に支障がでた。
【考察】
 今回明らかとなった課題や経験を、委員会内で検討しながらマニュアルの修正を行っていく必要がある。マニュアルは、概論ばかりではなくフローを活用し実用可能な内容に整理する必要がある。また災害小委員会を定期開催し、院内全体への発信と、今回の経験をもとにした訓練を企画運営していく必要がある。