第15回日本クリティカルケア看護学会学術集会

講演情報

一般演題(口演)

[O9] 医療安全

2019年6月16日(日) 13:10 〜 14:20 第5会場 (B2F リハーサル室)

座長:平尾 明美(神戸大学医学部附属病院)

14:00 〜 14:10

[O9-6] RRSとCCOを同時期に導入することの効果

○富士田 恭子1、貝沼 光代1、挾間 しのぶ2 (1. 東京慈恵会医科大学附属柏病院看護部、2. 東京慈恵会医科大学附属病院)

キーワード:RRS、CCO、NEWS2

【目的】
 近年、世界的に心肺停止に至る6~8時間前に徴候があるとされ、その徴候を察知すれば、迅速に対応していくRapid Response system(以下RRS)が導入されてきている。当施設の平成22年の研究で、心肺停止等の緊急事態に発令するスタットコール事例において急変の2~10時間前に徴候が多く出現していたこと、医療チームが患者の訴えや症状を急変の徴候と認識していれば、患者の状況をアセスメントしようとする行動化につながることが明らかになった。このことからRRSの4つの構成因子の遠心性の視点である「危機への対応」としてRRSを導入し、求心性の視点である「危機の察知」を拾い上げていくCritical Care Outreach (以下CCO)を導入した。そこで、RRSとCCOを同時期に導入することにより見えてきた急変事例の現状を分析し、その成果と課題について報告する。
【方法】 
 研究期間:平成27年4月~平成30年12月
 研究方法:スタットコール、RRSコール報告書を基に急変兆候出現時刻や急変時刻、NEWS2スコア等を後方視的に分析を行った。
【倫理的な配慮】 当施設看護研究実施許可を申請し、分析にあたり個人が特定されないよう配慮した
【結果】
 RRS発令件数は平成30年4月から12月までは平均3.67件/月、平成30年度CCO対応件数は平均86.80件/月であった。CCOが介入した時点の全英早期警告スコア(National Early Warning Score2 以下NEWS2)のスコア平均は4.58(SD 2.82)であった。平成27年度の急変徴候認識からスタットコールの発令時間は平均8時間41分であった。平成30年度の急変徴候認識からRRS発令時間は平均2時間10分と短縮していた。CCO対応後のRRS発令は42.9%であった。スタットコール件数はCCO、RRS導入後減少した。
【考察】
 CCOで共通のスコアを用いて連日評価することで、要観察患者が抽出され、患者の変化の動向をつかみ継続してチームでアセスメントと対応することに繋がった。RRS対応は当施設の発令基準を浸透させ、24時間のシステムを構築することで急変兆候の認識によりチームでの早期介入に繋がった。
その結果、予測外の急変から予測内の急変への移行や観察不足や対処不足によるスタットコールが減少したと考えられる。
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