14:40 〜 14:47
[P1-1] 救急外来看護師が行う悲嘆ケアの実態調査〜自由記述内容のテキストマイニングによる分析
キーワード:悲嘆ケア、救急看護
【目的】
救急外来看護師を対象として悲嘆ケアの実施について実態を把握するために調査を行った。本研究では、調査票の自由記述内容をテキストマイニングにより分析し、その特徴を記述することを目的とした。
【方法】
救命救急センターを標榜する全284病院の看護責任者宛に依頼文書を送付し、研究協力の可否と質問紙送付部数を確認し,最終的に92病院に1392通の調査票を送付した。673件を無記名直接郵送法で回収し、自由記載欄に悲嘆ケアに関する記述のあった266件を分析対象とした。自由記載の内容をテキストファイル化した後、KHCoder3(樋口、2004)を使用してデータの概要を把握し、コーディングルールを作成し、記述内容を分類した。また、性別、経験年数、エンドオブライフケア研修受講の有無などの変数を外部変数として、対応分析とクロス集計を行った。なお、有意水準は5%とした。本研究は高知県立大学研究倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】
266件の記述を分析対象とした。記述内容は712文で、総抽出語数は7160語であった。男性22名、女性241名、無回答3名であった。記述内容は、《介入の困難さ》118件(44.36%)《介入の工夫》107件(40.23%)《介入の迷い》85件(31.95%)《介入する看護師の姿勢》51件(19.17%)《救急外来での看取りの現状》34件(12.78%)《介入に伴うジレンマ》32件(12.03%)《介入の共有》27件(10.15%)《介入評価の困難さ》5件(1.88%)に分類できた。
外部変数とコードとの関連性では、救急外来での経験年数と《介入の工夫》、エンドオブライフケア研修受講の有無と《介入の共有》、忙しさ度合いと《救急外来での看取りの現状》、デスカンファレンスの有無と《介入の困難さ》で、それぞれ有意差を認めた。また、対応分析では、救急外来経験年数と記述内容の特徴として、0-3年は、「自分」「救命」「対応」、4-5年は、「経験」「実際」「行う」、6-10年は、「現状」「声」「ジレンマ」、10年以上は、「思い」「状況」「感じる」「考える」などがあった。
【考察】
看護師は経験年数を重ね、《介入の工夫》を持つ一方、《介入に伴うジレンマ》を抱きながら、救急外来の特徴を考慮した家族へのかかわりを模索していると考えられた。また、《介入の困難さ》がある中でも、家族の反応を注意深く見ながら《介入の工夫》を実践し、看護師間で《介入の共有》をして、救急外来という場で必要となる介入を思案していると考えられた。救急外来では、短時間のかかわりとなることから《介入評価の困難さ》が《介入の迷い》を生じさせている可能性もある。介入の困難さを感じ、迷いながら介入する看護師が、家族にとって適した介入を考えていけるようにするためにも、チームでの振り返りの機会が重要であることが示唆された。
本研究はJSPS科研費16K159050001 の助成を受けた研究の一部である。
救急外来看護師を対象として悲嘆ケアの実施について実態を把握するために調査を行った。本研究では、調査票の自由記述内容をテキストマイニングにより分析し、その特徴を記述することを目的とした。
【方法】
救命救急センターを標榜する全284病院の看護責任者宛に依頼文書を送付し、研究協力の可否と質問紙送付部数を確認し,最終的に92病院に1392通の調査票を送付した。673件を無記名直接郵送法で回収し、自由記載欄に悲嘆ケアに関する記述のあった266件を分析対象とした。自由記載の内容をテキストファイル化した後、KHCoder3(樋口、2004)を使用してデータの概要を把握し、コーディングルールを作成し、記述内容を分類した。また、性別、経験年数、エンドオブライフケア研修受講の有無などの変数を外部変数として、対応分析とクロス集計を行った。なお、有意水準は5%とした。本研究は高知県立大学研究倫理委員会の承認を得て実施した。
【結果】
266件の記述を分析対象とした。記述内容は712文で、総抽出語数は7160語であった。男性22名、女性241名、無回答3名であった。記述内容は、《介入の困難さ》118件(44.36%)《介入の工夫》107件(40.23%)《介入の迷い》85件(31.95%)《介入する看護師の姿勢》51件(19.17%)《救急外来での看取りの現状》34件(12.78%)《介入に伴うジレンマ》32件(12.03%)《介入の共有》27件(10.15%)《介入評価の困難さ》5件(1.88%)に分類できた。
外部変数とコードとの関連性では、救急外来での経験年数と《介入の工夫》、エンドオブライフケア研修受講の有無と《介入の共有》、忙しさ度合いと《救急外来での看取りの現状》、デスカンファレンスの有無と《介入の困難さ》で、それぞれ有意差を認めた。また、対応分析では、救急外来経験年数と記述内容の特徴として、0-3年は、「自分」「救命」「対応」、4-5年は、「経験」「実際」「行う」、6-10年は、「現状」「声」「ジレンマ」、10年以上は、「思い」「状況」「感じる」「考える」などがあった。
【考察】
看護師は経験年数を重ね、《介入の工夫》を持つ一方、《介入に伴うジレンマ》を抱きながら、救急外来の特徴を考慮した家族へのかかわりを模索していると考えられた。また、《介入の困難さ》がある中でも、家族の反応を注意深く見ながら《介入の工夫》を実践し、看護師間で《介入の共有》をして、救急外来という場で必要となる介入を思案していると考えられた。救急外来では、短時間のかかわりとなることから《介入評価の困難さ》が《介入の迷い》を生じさせている可能性もある。介入の困難さを感じ、迷いながら介入する看護師が、家族にとって適した介入を考えていけるようにするためにも、チームでの振り返りの機会が重要であることが示唆された。
本研究はJSPS科研費16K159050001 の助成を受けた研究の一部である。