3:47 PM - 3:54 PM
[P2-2] P2-2
Keywords:救命救急センター、病棟再編成、ワーク・モチベーション
【目的】
A病院の救命救急センターは、2次3次救急患者の受け入れやドクターヘリを運行しており、外傷患者を始め多くの重症患者を受け入れている。2018年8月、救命救急センターが再編成され3部署より39名の看護師が集まることとなった。救命救急センター再編成に向け、必要とされる知識の習得、働きやすい職場環境の整備、人間関係の構築を目的に、事前取り組みとして2対1未経験の看護師へ、知識や技術の勉強会と1か月間のICU研修を実施した。また、全看護師へ、自主参加型のチーム活動(業務手順・看護手順・電子カルテ運用・物品の準備と配置について希望者を募りチームを編成し、開設に向けた取り組み)を実施し、さらに、3部署の看護師達で交流会を実施した。今回、事前の取り組みを実施したことが、「看護師のワーク・モチベーション」にどのような変化をもたらすのか調査する事を目的とした。
【方法】
「看護師のワーク・モチベーション測定尺度」1)(①スタッフとの調和を保つこと、②スタッフ同士で話をする時間をもつこと、③他職種と連携をとること、④患者や家族の力を信じること、⑤患者や家族の個別的なニーズに柔軟に応えること、⑥よりよいケアを工夫すること、⑦看護師として業績を残すこと、⑧リーダーシップをとること、⑨看護師としての将来の目標を達成すること、⑩適切に感染予防対策を実施すること、⑪業務で生じるストレスに対処すること、⑫確実にリスクを回避すること)を用い、4段階評価(最小1点~最高4点)の質問紙を作成し、2108年10月(1回目)と2019年1月(2回目)、調査を実施した。調査対象は、臨床経験2年目~16年目の救命救急センター看護師32名とした。結果の分析は、単純集計と2群間の比較はMann-WhitneyのU検定を行った。なお、本研究はA病院倫理委員会の承認を得た上で実施した。
【結果・考察】
1回目の回収は32名中、24名で回収率は75%、2回目の回収は32名中、20名で回収率は62.5%であった。
全体の集計結果の1回目と2回目を分析したところ、⑪業務で生じるストレスに対処することにおいて有意差を認めたが、これは、救命救急センター病床編成後、少しずつ環境や業務に体が慣れ、ストレスに対処しなければならない機会が減少していったためだと考えられた。また、チーム活動への参加や研修・講習会への参加、日々の交流、上司との面接を通して知識面や人間関係などの不安の軽減が図れていった結果が影響したのではないかと考えた。
チーム活動参加の有無と看護師経験年数別に集計して比較を実施した結果、チーム活動の参加の有り群と無し群では、1回目と2回目で有意差はみられなかったため、平均値で比較をした。その結果、参加有り群の平均値が参加無し群よりも全体的に高得点であった。これは、自主参加型のチーム活動(業務手順・看護手順・電子カルテ運用・物品の準備と配置など)により、自分達で救命救急センターを一から作り上げることが仕事へのやりがいとなり、ワーク・モチベーションの維持へつながったのではないかと考えられた。
今回の研究では、質問紙調査の参加者が一致していなかったこと、変化をみるには3か月と期間が短かったこと、また、ワーク・モチベーションには個人要因、環境要因など様々な要因が影響して変化することから、これらの要因をどのように評価、考察していくかが今後の課題となった。
【引用文献】
1)西村夏代,井出涼介,中嶋和夫,山口三重子:看護師のワーク・モチベーション測定尺度の開発,社会医学研究 第34巻 第2号 Vol.34(2)2017 (尺度作成者へ使用許可済)
A病院の救命救急センターは、2次3次救急患者の受け入れやドクターヘリを運行しており、外傷患者を始め多くの重症患者を受け入れている。2018年8月、救命救急センターが再編成され3部署より39名の看護師が集まることとなった。救命救急センター再編成に向け、必要とされる知識の習得、働きやすい職場環境の整備、人間関係の構築を目的に、事前取り組みとして2対1未経験の看護師へ、知識や技術の勉強会と1か月間のICU研修を実施した。また、全看護師へ、自主参加型のチーム活動(業務手順・看護手順・電子カルテ運用・物品の準備と配置について希望者を募りチームを編成し、開設に向けた取り組み)を実施し、さらに、3部署の看護師達で交流会を実施した。今回、事前の取り組みを実施したことが、「看護師のワーク・モチベーション」にどのような変化をもたらすのか調査する事を目的とした。
【方法】
「看護師のワーク・モチベーション測定尺度」1)(①スタッフとの調和を保つこと、②スタッフ同士で話をする時間をもつこと、③他職種と連携をとること、④患者や家族の力を信じること、⑤患者や家族の個別的なニーズに柔軟に応えること、⑥よりよいケアを工夫すること、⑦看護師として業績を残すこと、⑧リーダーシップをとること、⑨看護師としての将来の目標を達成すること、⑩適切に感染予防対策を実施すること、⑪業務で生じるストレスに対処すること、⑫確実にリスクを回避すること)を用い、4段階評価(最小1点~最高4点)の質問紙を作成し、2108年10月(1回目)と2019年1月(2回目)、調査を実施した。調査対象は、臨床経験2年目~16年目の救命救急センター看護師32名とした。結果の分析は、単純集計と2群間の比較はMann-WhitneyのU検定を行った。なお、本研究はA病院倫理委員会の承認を得た上で実施した。
【結果・考察】
1回目の回収は32名中、24名で回収率は75%、2回目の回収は32名中、20名で回収率は62.5%であった。
全体の集計結果の1回目と2回目を分析したところ、⑪業務で生じるストレスに対処することにおいて有意差を認めたが、これは、救命救急センター病床編成後、少しずつ環境や業務に体が慣れ、ストレスに対処しなければならない機会が減少していったためだと考えられた。また、チーム活動への参加や研修・講習会への参加、日々の交流、上司との面接を通して知識面や人間関係などの不安の軽減が図れていった結果が影響したのではないかと考えた。
チーム活動参加の有無と看護師経験年数別に集計して比較を実施した結果、チーム活動の参加の有り群と無し群では、1回目と2回目で有意差はみられなかったため、平均値で比較をした。その結果、参加有り群の平均値が参加無し群よりも全体的に高得点であった。これは、自主参加型のチーム活動(業務手順・看護手順・電子カルテ運用・物品の準備と配置など)により、自分達で救命救急センターを一から作り上げることが仕事へのやりがいとなり、ワーク・モチベーションの維持へつながったのではないかと考えられた。
今回の研究では、質問紙調査の参加者が一致していなかったこと、変化をみるには3か月と期間が短かったこと、また、ワーク・モチベーションには個人要因、環境要因など様々な要因が影響して変化することから、これらの要因をどのように評価、考察していくかが今後の課題となった。
【引用文献】
1)西村夏代,井出涼介,中嶋和夫,山口三重子:看護師のワーク・モチベーション測定尺度の開発,社会医学研究 第34巻 第2号 Vol.34(2)2017 (尺度作成者へ使用許可済)