16:01 〜 16:08
[P2-4] グッドレポート提出促進に向けた取り組み
キーワード:救命救急、インシデント、レベル0
【はじめに】
クリティカル看護領域における、リスク感度向上に向けた取り組みとして、2017年度よりグッドレポートを導入し、インシデント「レベル0」提出促進する活動を実施したため報告する。
【目的】グッドレポートの件数増加を目標。
【研究デザイン】実践報告
【取り組み】
2017年度:計画①グッドレポートの概要を明確化し、スタッフへ周知する②ルールを遵守、エラー拡大阻止し患者へ害を与えなかった出来事はグッドレポートとして報告する③勤務終了時デブリーフィングで共有し、デブリーフィングシートに簡潔的に記載する④始業前の全体の申し送りで、インシデントレポートと同様に読み上げ周知する。⑤グッドレポート件数を50件/年以上報告を目標とした。
2018年度:計画追加⑥当病棟のリスク係がデブリーフィングシートに書かれた内容を代理入力することを係活動とした。⑦グッドとなる出来事を発見した場合は積極的に「それグッドだよ」とリアルタイムで声を出し認識を持たせる行動をした。
【情報収集期間】2017年4月から2019年2月までのグッドレポート件数を算出し、内容を分析する。
【倫理的配慮】
個人が特定できないよう配慮、対象は自由意思が尊重され不利益は生じないことを説明し同意を得た。データはパソコン内に保管、管理者がアクセス権を限定し管理した。
【結果】
2017年4月から2018年3月までのグッドレポート提出件数は25件、2018年4月から2019年2月までの件数は80件であり報告件数は上昇し目標は達成できた。合計件数105件の内容を分析した結果、A)患者へ実施されたが早期発見によりエラー拡大阻止できた21%、B)ルールを遵守した結果、準備時に薬剤、経管栄養、食事内容、患者誤認を予防できた17%、C)疑義照会し患者へ影響を与えることなくエラーを阻止できた32%、D)療養上の世話・看護20%、E)その他10%に分類できた。その中でも疑義照会をしたことでエラーを阻止できた事例が多かった。内容は特に薬剤関連が多く、使用経験のない薬剤やカリウム含有量などを薬剤師や医師へ確認した内容であった。次に経管栄養量や食事の配膳前に実際の食事箋とワークシートの内容が違うことに気付き、医師や栄養部へ確認しエラーを阻止できた内容であった。
【考察】
野中ら1)は、インシデントレポートの提出を拒む理由としては時間的余裕がないことと心理的負担が考えられると述べている。グッドレポート提出件数が上昇した理由として、病棟スタッフへの聞き取りより「入力する時間的余裕がない」「面倒くさい」「自分の出来事を書くことに躊躇がある」との意見があった。時間的余裕は、リスク係の役割として認識し代理入力したことで補うことができた。心理的負担は、グッドとなる出来事を「それグッドだよ」と声に出しフィードバックしたことで、提出が促進されたと考える。エラーを阻止することができた事例から、リスク感度は向上していると推測できる。業務上のハイリスクな状況下で、安全管理の為には、危機管理の原則を理解し、周到な準備と対応が必要であると考える。今後、看護・医療を可視化し、質の向上に繋げられるよう活用することも可能なのではないかと考え、この取り組みを継続する。
<引用・参考文献>1)野中 悠・小澤千恵・谷島春江:看護職のヒヤリハット提出促進に関する現状と課題,第45回日本看護学会論文文集 看護管理 P276-279 2015年
クリティカル看護領域における、リスク感度向上に向けた取り組みとして、2017年度よりグッドレポートを導入し、インシデント「レベル0」提出促進する活動を実施したため報告する。
【目的】グッドレポートの件数増加を目標。
【研究デザイン】実践報告
【取り組み】
2017年度:計画①グッドレポートの概要を明確化し、スタッフへ周知する②ルールを遵守、エラー拡大阻止し患者へ害を与えなかった出来事はグッドレポートとして報告する③勤務終了時デブリーフィングで共有し、デブリーフィングシートに簡潔的に記載する④始業前の全体の申し送りで、インシデントレポートと同様に読み上げ周知する。⑤グッドレポート件数を50件/年以上報告を目標とした。
2018年度:計画追加⑥当病棟のリスク係がデブリーフィングシートに書かれた内容を代理入力することを係活動とした。⑦グッドとなる出来事を発見した場合は積極的に「それグッドだよ」とリアルタイムで声を出し認識を持たせる行動をした。
【情報収集期間】2017年4月から2019年2月までのグッドレポート件数を算出し、内容を分析する。
【倫理的配慮】
個人が特定できないよう配慮、対象は自由意思が尊重され不利益は生じないことを説明し同意を得た。データはパソコン内に保管、管理者がアクセス権を限定し管理した。
【結果】
2017年4月から2018年3月までのグッドレポート提出件数は25件、2018年4月から2019年2月までの件数は80件であり報告件数は上昇し目標は達成できた。合計件数105件の内容を分析した結果、A)患者へ実施されたが早期発見によりエラー拡大阻止できた21%、B)ルールを遵守した結果、準備時に薬剤、経管栄養、食事内容、患者誤認を予防できた17%、C)疑義照会し患者へ影響を与えることなくエラーを阻止できた32%、D)療養上の世話・看護20%、E)その他10%に分類できた。その中でも疑義照会をしたことでエラーを阻止できた事例が多かった。内容は特に薬剤関連が多く、使用経験のない薬剤やカリウム含有量などを薬剤師や医師へ確認した内容であった。次に経管栄養量や食事の配膳前に実際の食事箋とワークシートの内容が違うことに気付き、医師や栄養部へ確認しエラーを阻止できた内容であった。
【考察】
野中ら1)は、インシデントレポートの提出を拒む理由としては時間的余裕がないことと心理的負担が考えられると述べている。グッドレポート提出件数が上昇した理由として、病棟スタッフへの聞き取りより「入力する時間的余裕がない」「面倒くさい」「自分の出来事を書くことに躊躇がある」との意見があった。時間的余裕は、リスク係の役割として認識し代理入力したことで補うことができた。心理的負担は、グッドとなる出来事を「それグッドだよ」と声に出しフィードバックしたことで、提出が促進されたと考える。エラーを阻止することができた事例から、リスク感度は向上していると推測できる。業務上のハイリスクな状況下で、安全管理の為には、危機管理の原則を理解し、周到な準備と対応が必要であると考える。今後、看護・医療を可視化し、質の向上に繋げられるよう活用することも可能なのではないかと考え、この取り組みを継続する。
<引用・参考文献>1)野中 悠・小澤千恵・谷島春江:看護職のヒヤリハット提出促進に関する現状と課題,第45回日本看護学会論文文集 看護管理 P276-279 2015年